【プレスリリース】冠動脈疾患発症に関する遺伝的変異の影響を解明

2020年10月06日研究

-60 万人超の大規模ゲノム解析で明らかに-

理化学研究所(理研)生命医科学研究センター循環器ゲノミクス・インフォマティクス研究チームの伊藤薫チームリーダー、小山智史特別研究員、久保充明副センター長(研究当時)、東京大学の小室一成教授、鎌谷洋一郎教授、油谷浩幸教授、村上善則教授、野村征太郎特任助教らの国際共同研究グループ※は、京都大学ゲノム医学センター、JPHC研究、J-MICC研究、OACIS研究と共同で、日本人約17万人のゲノムデータに加え、約5,000人の全ゲノムシークエンスデータを応用し冠動脈疾患を対象としたゲノム解析を行いました。さらにヨーロッパ人集団との統合解析により、冠動脈疾患に関わる疾患感受性座位を新たに同定し、日本人における冠動脈疾患の発症リスクを予測する遺伝的リスクスコア(GRS)を作成しました。

本研究成果は、冠動脈疾患の発症に関わる分子機構の詳しい理解に役立つだけでなく、遺伝情報に基づいた予防・治療の個別化に貢献すると期待できます。

今回、国際共同研究グループは、バイオバンク・ジャパンのゲノムデータを用いて、日本人約17万人のゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、これまでのヨーロッパ人集団を対象とした研究では同定されていなかった8領域を含む、48の冠動脈疾患に関わる疾患感受性座位を同定しました。さらに、過去に行われたヨーロッパ人集団でのGWASの結果と統合し、計60万人を超える大規模な民族横断解析を行った結果、新たに同定された35領域を含む175の疾患感受性座位を同定しました。これまでヨーロッパ人集団のGWASの結果はGRSの作成において日本人をはじめとする非ヨーロッパ人集団への応用が難しいと考えられていましたが、本研究ではヨーロッパ人集団のデータに日本人のデータを加えることによって、高い予測性能を示すGRSの作成に成功しました。

本研究は、科学雑誌『Nature Genetics』の掲載に先立ち、オンライン版(10月5日付:日本時間10月6日)に掲載されました。

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