【プレスリリース】ヒトパピローマウイルス(HPV)関連中咽頭がんのゲノム・エピゲノム異常の全体像を解明

2019年05月17日研究

ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされる中咽頭がん(HPV関連中咽頭がん)は、同じウイルスを原因とする子宮頸がんよりも患者数の増加が著しい悪性腫瘍であり、比較的若年者に生じることから、その克服が大きな課題となっています。HPVと関連がない中咽頭がんと比べてがん関連遺伝子変異などゲノムの異常が少ない一方、DNAメチル化などのエピゲノムの異常が多いことが知られていますが、その全体像は明らかになっていません。

東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の安藤瑞生講師らは、米国カリフォルニア大学のJoseph Califano教授らと共同で、次世代シーケンサーを用いてHPV関連中咽頭がんのゲノムにみられる遺伝子異常、エピゲノム異常の全体像を解明しました。そして、エピゲノム異常の標的が遺伝子転写開始点にあることを世界で初めて明らかにしました。また、HPV関連中咽頭がんの患者さんの中に、DNAメチル化が高度に生じている(高DNAメチル化腫瘍)症例を見出し、この一群に特徴的な発がん経路の活性化があることも解明しました。

この成果は、HPV関連中咽頭がんの病態解明に貢献し、治療の最適化の実現に役立つものと期待されます。本研究は、文部科学省科学研究費(国際共同研究加速基金)の支援を受けて行われ、日本時間5月16日に英国科学誌Nature Communications(オンライン版)にて発表されました。

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