【プレスリリース】軟骨にかかる過剰な力学的負荷が変形性関節症を引き起こすメカニズムの解明

2019年03月29日研究

変形性関節症は高齢者の健康寿命を脅かす代表的な疾患ですが、進行を止める治療薬はいまだに存在しません。肥満、重労働、関節の外傷など、過剰な力学的負荷が関節軟骨を変性させることは古くから知られていますが、その分子メカニズムは分かっていませんでした。東京大学大学院医学系研究科外科学専攻整形外科学の張成虎大学院生(研究当時)、東京大学医学部附属病院整形外科・脊椎外科齋藤琢准教授らのグループは、細胞や組織に対して周期的に力学的負荷をかける装置を開発し、軟骨細胞において強い負荷によって発現が変化する遺伝子をスクリーニングして、分泌タンパクGremlin-1を同定しました。Gremlin-1は強い力学的負荷によって誘導され、NF-κBシグナルの活性化を介して軟骨を変性させることなどを、細胞、マウスを用いて証明しました。また、Gremlin-1を標的にすることで変形性関節症の進行を抑制できることも示しました。過剰な力学的負荷が変形性関節症を惹起するメカニズムの全体像を証明したのはこの研究が初めてであり、同時に変形性関節症の本質的な治療法の開発に繋がる成果と考えられます。

本研究は日本医療研究開発機構(AMED)革新的先端研究開発支援事業(PRIME)「メカノバイオロジー機構の解明による革新的医療機器及び医療技術の創出」研究開発領域における研究開発課題「ストレス強度に応じた関節軟骨細胞のメカノレスポンスの変容機構の解明」(研究開発代表者:齋藤琢)の支援により行われ、日本時間3月29日に英国科学誌Nature Communications(オンライン版)にて発表されました。

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