【プレスリリース】インスリン抵抗性に関連するヒト腸内細菌の網羅的解析
2023年08月31日研究
―腸内細菌を利用した糖尿病の治療介入につながる成果―
理化学研究所(理研)生命医科学研究センター粘膜システム研究チームの大野博司チームリーダー(神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)腸内細菌叢プロジェクトプロジェクトリーダー(研究当時))、窪田哲也上級研究員(研究当時、医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)国立健康・栄養研究所臨床栄養研究部長(研究当時)、KISTEC腸内細菌叢プロジェクトサブリーダー(研究当時))、竹内直志特別研究員(研究当時)、理研統合生命医科学研究センター(研究当時)の小安重夫センター長(研究当時、現理研生命医科学研究センター免疫細胞システム研究チームチームリーダー)、東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科の門脇孝教授(研究当時)、同病態栄養治療センター病態栄養治療部の窪田直人准教授らの共同研究グループは、2型糖尿病の基盤であるインスリンの働きが悪くなる「インスリン抵抗性」に関連する特徴的な腸内細菌および糞便代謝物を特定しました。
本研究成果は、2型糖尿病の発症予測や未病(前糖尿病)段階での治療介入などに貢献するものと期待されます。
今回、共同研究グループは、日本人306人の腸内細菌および糞便代謝物を網羅的に調べる統合オミクス解析を実施し、糞便中の果糖、ガラクトースなどの単糖類がインスリン抵抗性に関連することを発見しました。また、腸内細菌のうちAlistipes属はインスリン抵抗性、単糖類ともに負の相関を示したことから、Alistipes属にインスリン抵抗性の改善効果があると予測しました。実際に、Alistipes indistinctusをインスリン抵抗性モデルマウスに投与した結果、この細菌株にインスリン抵抗性の改善効果および腸管内単糖類の減少効果があることを突き止めました。
本研究は、科学雑誌『Nature』オンライン版(8月30日付:日本時間8月31日)に掲載されました。
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