【プレスリリース】ウルソデオキシコール酸によるCOVID-19重症化抑止の可能性

2023年08月02日研究

―IgG-N抗体価測定を併用した不顕性感染の評価を通じて―

東京大学医学部附属病院感染制御部の奥新和也特任講師(病院)、堤武也教授らによる研究グループは、同院消化器内科の2023年1月から2月にかけての外来受診者を対象とした検討で、ウルソデオキシコール酸(UDCA)が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染率には影響を与えない一方で、不顕性感染を増加させる、つまり重症化を抑止する可能性があることを、日本ではじめて明らかにしました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症度は様々ですが、特に2022年以降主流となったオミクロン株では無症状から軽症の感染者が増加したため、医療機関で診断された有症状患者のみを対象とした検討では不顕性感染の評価が困難でした。

今回、外来受診者に対して問診に加えて、感染既往を評価できる新型コロナウイルスに対する免疫グロブリンG(IgG-N抗体)を測定することで、これらの未診断の感染者も含めた形で、より確かな感染率の検討を行うことができました。

今回の結果は、日本で開発され、長期の使用経験があり安全性が担保されているウルソデオキシコール酸またはその誘導体の、新型コロナウイルス感染症の重症化予防薬としてのリポジショニングの可能性を示唆する結果と考えられ、創薬や予防法の開発等へ向けて今後のさらなる研究の発展が期待されます。

本研究成果は、英国夏時間7月27日に「Journal of Internal Medicine」に掲載されました。

※詳細は添付ファイルをご覧下さい。


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