【プレスリリース】全身性エリテマトーデスの病態解明へ
2022年08月23日研究
-疾患の発症・増悪に関わる遺伝子発現異常を同定-
理化学研究所(理研)生命医科学研究センター自己免疫疾患研究チームの中野正博特別研究員、ヒト免疫遺伝研究チームの石垣和慶チームリーダー、自己免疫疾患研究チームの山本一彦チームリーダー、東京大学大学院医学系研究科アレルギー・リウマチ学の藤尾圭志教授らの共同研究グループは、全身性エリテマトーデス(SLE)の病態に関わる免疫細胞の遺伝子発現異常を多数同定しました。
研究成果は、SLEのさらなる病態理解と新しい治療標的の発見に貢献すると期待できます。
SLEは、発症後に寛解と増悪(重症化)を繰り返し、さまざまな臓器が侵される難治性自己免疫疾患[2]であり、詳細な病態は未解明です。
今回、共同研究グループは、SLE患者と健常人の血液から取り出した27種の免疫細胞(計6,386サンプル)を解析し、疾患に関わる遺伝子の発現パターンを詳しく調べました。さまざまな症状を持つSLE患者に対して、免疫細胞を細かく分けた高精度の遺伝子発現解析を行ったことで、SLEの発症時と増悪時に、異なる免疫細胞がそれぞれ異なるメカニズムで働いていることが初めて明らかになりました。発症時と増悪時を区別してSLEの病態を理解することにより、新たな治療標的の同定につながることが期待できるとともに、今後の遺伝子解析研究の新たな方向性を示すことに成功しました。
本研究は、科学雑誌『Cell』オンライン版(8月22日付:日本時間8月23日)に掲載されました。
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