【プレスリリース】リポカリン15はにおいを感じる嗅粘膜の粘液に特異的に豊富に含まれるタンパク質で、加齢により減少する

2022年06月24日研究

東京大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野の近藤健二准教授、山岨達也教授の研究グループは味の素株式会社食品研究所の伊地知千織上席研究員、三重大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科の小林正佳准教授との共同研究により、ヒトの嗅覚を司る嗅粘膜の表面を覆う嗅粘液に含まれるタンパク質を網羅的に解析したところ、疎水性分子の物質輸送に関わるリポカリンファミリータンパクの1つであるリポカリン15(LCN15)が多量に含まれていることを見出しました。また、LCN15の嗅粘液中の濃度が加齢により減少することを明らかにしました。さらに、LCN15は嗅粘膜にある分泌腺であるボウマン腺で産生・放出されており、嗅粘膜以外の鼻粘膜には分布しておらず、嗅粘膜の組織中のLCN15の分布は嗅神経細胞の分布量と相関がありました。嗅粘液は嗅覚受容に重要な役割を果たしていますが、本研究はヒト嗅粘液中の物質の産生のしくみを明らかにした初めての研究であり、今後、ヒトの嗅覚受容のしくみの解明に貢献できると期待されます。また、嗅粘液中のLCN15の濃度測定は嗅粘膜の変性をモニターする臨床検査としての役割が期待されます。

本研究成果は、2022年6月24日(英国夏時間)に英国科学誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

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