【記者会見】上部尿路上皮がんの分子分類と新規分子診断
2021年06月15日研究
-尿中遺伝子変異の検出で高精度の診断が可能-
上部尿路上皮がんは腎盂や尿管の尿路上皮に発生する予後不良ながんであり、その希少さから遺伝学的な背景が十分に解明されていませんでした。また、上部尿路上皮がんは診断が困難なため治療の遅れにつながることがあり、新たな診断方法の開発が待たれていました。
この度、京都大学大学院医学研究科・腫瘍生物学講座 小川誠司 教授(兼:京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点(ASHBi)主任研究者)、藤井陽一 同研究員(兼:同所属研究者)、東京大学大学院医学系研究科・泌尿器外科学分野 久米春喜 教授、および東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター 宮野悟 教授 (研究当時、現:東京医科歯科大学M&Dデータ科学 センター長)らを中心とする研究チームは、上部尿路上皮がんの腫瘍検体及び術前に採取した尿を用いて大規模なゲノム解析を行い、
(1) 上部尿路上皮がんは遺伝子変異に基づき、異なる生存率を示す5つの分子病型に分類できること、
(2) 術前の尿中にはがん組織と同一の遺伝子異常が認められ、上部尿路上皮がんの精度の高い診断が可能となること、を証明しました。
今回の研究結果により、上部尿路上皮がんの各病型のゲノム異常に基づく治療選択や、尿を用いた簡便かつ精度の高い診断が可能となり、治療成績の向上が期待されます。本研究成果は、米国の国際学術誌『Cancer Cell』にオンライン掲載されました。
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