【プレスリリース】AIを用いた子宮鏡における子宮体癌自動診断システムの開発

2021年04月01日研究

子宮体癌は婦人科がんにおいて最も罹患数が多い疾患であり、国内外問わず、近年増加傾向にあります。早期であればホルモン治療によって子宮温存が可能ですが(※)、進行期、再発症例であると難治性の事が多く、早期発見が重要となります。しかしながら、子宮体がん検診に関しては確立されたスクリーニング法が無いのが現状です。子宮鏡検査は腟を経由して子宮内腔をファイバースコープで観察する内視鏡検査であり、子宮体癌や、その前癌病変である子宮内膜増殖症の診断補助に使用することもあります。
(※補足)症例により異なります。

このような背景のもと、東京大学の曾根献文講師、高橋優大学院生、大須賀穣教授ら、および、Predicthy合同会社の野田勝彦、吉田要らの研究グループは、子宮体がん検診の重要なデバイスとして子宮鏡検査を一般化することを目的とし、人工知能(AI)を用いた子宮鏡における子宮体癌自動診断システムの開発に成功しました。また通常、深層学習を用いた人工知能を学習させるには、膨大な症例数が必要ですが、本研究グループは、少ない症例数でも良好な正診率が得られる新たなアルゴリズムを開発しました。正常子宮内膜、子宮内膜ポリープなどの良性腫瘍、子宮体癌などの全177症例の子宮鏡画像をそれぞれ悪性グループと非悪性グループに分けて深層学習にて解析したところ、通常のアルゴリズムでは正診率が80%程度であるのに対して、今回独自に開発したアルゴリズムでは正診率が90%以上と少ない症例においても良好な結果が得られました。今後、本研究で開発されたアルゴリズムが子宮体がん検診法の確立に大きく貢献する事が期待されます。

本研究は内視鏡医学研究振興財団研究助成金の支援により行われ、日本時間4月1日に米国科学誌『PLOS ONE』に掲載されました。



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