【プレスリリース】健康関連行動(adherence)が長期の医療・介護費用や生命予後に与える影響の予測モデルを開発:人工知能(AI)と医療ビッグデータを応用

2021年01月07日研究

 医療・介護保険財政がひっ迫する中、社会保障の持続的な発展には、新たな疾病予防や財政管理の介入モデルが望まれます。また、疾病予防行動や服薬コンプライアンス、重複受診などのアドヒアランス(健康関連行動)の低下は、臨床成績のみならず医療財政に影響を及ぼすことが明らかとなっています。一方で、アドヒアランスが臨床経済に及ぼす影響の評価は、多様で複雑な因子が絡み合うた め、通常の臨床試験での評価が困難です。そこで、東京大学大学院医学系研究科の医療経済政策学の田倉智之特任教授らは、広義のアドヒアランスをスコア化して、将来の死亡と費用との関係を長期的に予測するデータサイエンス研究を世界で初めて実施しました。具体的には、医療ビッグデータとAIを応用し、アドヒアランスが長期(48か月間)の医療・介護費用や生命予後、他の臨床指標に与える影響を約5万人(循環器領域)のコホートで検証しつつ、予測モデル(10水準のASHROスコア)を開発しました。このスコアは、対象者(被保険者や患者)の 将来の臨床経済的なリスクを予見するため、行政者は保険財政(医療・介護)の管理に、医療者は疾病予防の促進に活用することで、疾病負担の改善と社会保障の発展に貢献すると期待されます。

本研究成果は日本時間2021年1月7日にBMC medicine(オンライン版)にて発表されました。

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