【プレスリリース】日本人集団の2型糖尿病に関わる新たな遺伝子領域を発見

2019年02月05日研究

2型糖尿病は脳卒中・心筋梗塞・腎不全・がんなど、万病の危険性を高める重大な病気であり、日本国内で1,000万人、世界中で4億人以上が2型糖尿病と言われています。2型糖尿病のかかりやすさは、遺伝と環境の両方によって影響されますが、日本人集団における2型糖尿病の遺伝の理解は不十分でした。東京大学大学院医学系研究科の門脇 孝特任教授、山内敏正教授、理化学研究所 生命医科学研究センターの堀越桃子チームリーダー、鎌谷洋一郎チームリーダー、大阪大学大学院医学系研究科 岡田随象教授、鈴木 顕助教らの研究グループは、20万人規模の日本人集団の遺伝情報を用いた大規模ゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、2型糖尿病の危険性を高める遺伝子領域を新たに28箇所同定しました。また、2型糖尿病治療薬の標的分子であるGLP-1受容体のミスセンス変異が2型糖尿病の危険性と関わることを見出しました。このミスセンス変異は薬剤投与後のインスリン分泌を増加させるため、薬の効き方を予測する指標に応用できる可能性があります。2型糖尿病の遺伝において、膵臓のβ細胞が日本人集団と欧米人集団に共通して重要である一方、インスリン分泌を調節する経路など日本人集団においてより大きな影響を有する分子生物学的パスウェイを見出しました。これらの結果は2型糖尿病の遺伝要因の理解を深めるとともに、将来的には糖尿病の発症予測・発症前予防に応用できる可能性があります。

本研究は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)のゲノム医療実現推進プラットフォーム事業「先端ゲノム研究開発」(GRIFIN)領域における研究開発課題「糖尿病の遺伝・環境因子の包括的解析から日本発次世代型精密医療を実現するプロジェクト」(研究開発代表者:門脇 孝)、「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」の「糖尿病・メタボリックシンドローム関連疾患の個別化医療実現」(研究開発代表者:門脇 孝)の一環で行われました。その成果は日本時間2019年2月5日に米国科学雑誌 Nature Genetics オンライン版に掲載されました。

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