【プレスリリース】人工知能による小腸粘膜傷害の診断

2018年10月26日研究

-AIを活用したカプセル内視鏡画像診断支援システムの開発-

このたび、東京大学医学部附属病院(病院長:齊藤延人、所在地:東京都文京区)消化器内科の青木智則医師(大学院生)、山田篤生助教、小池和彦教授らのグループと株式会社AIメディカルサービス(CEO:多田智裕、所在地:東京都豊島区)は共同で、人工知能(AI)を活用し、小腸カプセル内視鏡画像の中から粘膜傷害(びらん・潰瘍)を高精度で自動検出する内視鏡画像診断支援システムを開発しました。

薬や炎症による粘膜傷害は、胃や大腸だけでなく小腸にも起こります。小腸はカプセル型の内視鏡を用いて見ることができ、粘膜傷害は最も高頻度な異常です。しかし、1患者あたり6万枚程度の内視鏡画像を30~120分かけて読影するのは、読影者にとって大きな負担であり病変が見逃されることも危惧されます。病変自動検出システムがあれば、これらを軽減できる可能性があります。

本研究グループは最先端のAI技術であるニューラルネットワークを用いたディープラーニングを活用し、小腸のびらん・潰瘍が写った5,360枚の内視鏡画像をAIに学習させ、病変検出力の検証をしました。その結果、検証用の内視鏡画像10,440枚から、びらん・潰瘍を91%の精度で正診することができました。また、10,440 枚の画像の解析に要した時間は233秒であり、解析速度は人間の能力をはるかに超えるものでした。さらに、本システムは熟練した内視鏡医が発見できなかった病変も見つけることができ、病変見逃しの防止につながる可能性も示しました。

これまで、AIを活用したカプセル内視鏡診断支援システムは確立されていません。今後さらに、検出精度の向上や粘膜傷害以外の病変の検出といった応用を進め、小腸病変検出を支援するカプセル内視鏡診断支援システムの実用化を目指します。

本研究成果は、米国内視鏡医学雑誌『Gastrointestinal Endoscopy』オンライン版(2018年10月25日付)に掲載されました。

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