【記者発表】自閉症の新たな治療につながる可能性
2013年12月19日研究
―世界初 オキシトシン点鼻剤による対人コミュニケーション障害の改善を実証―
自閉症スペクトラム障害は、表情や声色を活用して相手の気持ちを汲み取ることが難しいといった対人コミュニケーションの障害を主な症状とし、一般人口の100人に1人以上で認められる代表的な発達障害です。この障害の原因は完全には解明されておらず、その治療法も確立されていません。結果として、知能の高い方でもこの障害のために社会生活に困難をきたしている現状にあります。
東京大学大学院医学系研究科精神医学分野 准教授 山末英典は、同研究科統合生理学分野 特任助教(当時) 渡部喬光らと共同で、ホルモンの1 種であるオキシトシンをスプレーによって鼻から吸入することで、自閉症スペクトラム障害において元来低下していた内側前頭前野と呼ばれる脳の部位の活動が活性化され、それと共に対人コミュニケーションの障害が改善されることを世界で初めて示しました。
今後はこの研究成果をもとに、オキシトシンの点鼻スプレー製剤を活用して、未確立だった自閉症スペクトラム障害における対人コミュニケーションの障害の治療法開発に取り組んでいきます。これらの成果は、日本時間 12 月19 日午前6 時にJAMA psychiatry(米国医師会雑誌 (精神医学))にて発表されます。本研究は、科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)「精神・神経疾患の分子病態理解に基づく診断・治療へ向けた新技術の創出」研究領域(研究総括:樋口 輝彦)における研究課題「社会行動関連分子機構の解明に基づく自閉症の根本的治療法創出」(研究代表者:加藤 進昌)および文部科学省「脳科学研究戦略推進プログラム」の一環として行われました。
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