【記者発表】臨床研究不正防止のために、すべての研究者が活用できる世界初の症例データレポジトリを運用開始

2013年11月28日研究

東京大学医学部附属病院 大学病院医療情報ネットワーク研究センターは、平成25年11月28日、世界で初めて、大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)サービスにおいて、臨床研究不正防止のために、すべての研究者が活用できる症例データレポジトリ(ICDR=Individual Case Data Repository)の運用を開始し、第1例目として、「ピタバスタチンの耐糖能異常者に対する糖尿病発症予防試験(J-PREDICT=Japan Prevention Trial of Diabetes by Pitavastatin in Patients with Impaired Glucose Tolerance)」(責任研究者:医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 門脇孝教授)の匿名化された全症例データが症例データレポジトリに登録されました。

このシステムは、研究者が自身の実施した臨床研究症例の匿名化したオリジナルのデータセットを研究者自身の同意のもとにUMINサーバに保管し、UMINがその内容を第三者(当該の研究者以外のすべての研究者)に担保するものです。症例データレポジトリへの症例のオリジナルのデータセット登録が一般的になることにより、1)臨床研究データの散逸防止と長期保存(匿名化された症例データをバックアップやセキュリティ体制の整ったUMIN症例データレポジトリに保管することによる)、2)臨床研究データの質の担保(例えば、相互チェック・査察のための正本の提供等)、3)論文で公表された以外の新たな知見を得るための統計解析のリソースとしての様々な用途での活用が可能となります。海外には、米国医薬食品局(FDA=Food and Drug Administration)が製薬会社の治験用に構築した症例データレポジトリや米国NIH(National Institutes of Health)が研究費を出している臨床研究に対して症例データレポジトリを構築した例はありますが、すべての研究者が活用できる症例データレポジトリの提供は、我々が把握しているかぎり、世界初です。

既に臨床試験登録は関係者の努力によって普及しつつあり、臨床研究の不正防止に一定の役割を果たしていますが、今後は症例データレポジトリが一般化することによって、臨床試験の不正予防対策が大きく進むことが期待されます。しかしながら、症例データレポジトリによって、臨床研究不正は根絶できるわけではなく、この他に相互チェック・査察の仕組み等の対策が今後別途必要であることに充分留意する必要があります。

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