病院長選考
東京大学医学部附属病院長候補者選考基準
令和6年11月28日
役員会決定
国立大学病院は、医学教育と医学研究を任務とする大学の一部門であると同時に、高度かつ先端的な医療を患者に提供する医療機関であるという特殊性を有している。なかでも東京大学医学部附属病院(東大病院)は、日本の近代医学の黎明期より医学・医療の発展と医学教育に貢献してきた歴史と伝統のある病院である。大学病院としての使命を果たすために、「臨床医学の発展と医療人の育成に努め、個々の患者に最適な医療を提供する」という理念と、「患者の意思を尊重する医療の実践」、「安全な医療の提供」、「先端的医療の開発」、「優れた医療人の育成」という目標を掲げている。
近年の医療の進歩に伴い、患者の安全を第一とする医療安全管理体制の確保がますます重視されるようになっている。高度かつ先端的な医療を提供する使命を帯びた特定機能病院や大学病院においては、より一層高度な医療安全管理体制が求められている。特に病院長は、医療安全の確保に関する法的責務を負っており、医療安全管理についての十分な知見を持ち、強いリーダーシップを発揮できる者が選任される必要がある。
一方、医薬品・医療機器の開発や臨床研究の実施に関して、関連する法律や倫理指針の改定等により、臨床研究における病院長の責務はますます重くなっている。さらに、初期臨床研修の必修化、日本専門医機構による専門医システムの改変、実習を重視した医学教育改革など、教育面における病院長の役割もますます増している。また、病院の予算規模の大きさから経営の視点も看過できない。
医学教育、医学研究、高度医療の提供という3つのミッションに対応する高度で複雑なガバナンス体制が求められている大学病院においては、これらの責務を果たすことのできる資質と能力を持つ病院長を選考することが不可欠である。上記を踏まえ、東大病院の病院長候補者の選考基準及び求められる資質・能力等について、下記のとおり定める。
記
- 人格が高潔で学識に優れ、「患者の意思を尊重する医療の実践」を指導できる人物であること
- 東大病院の歴史と現状について深く理解し、権限と責任を持って病院の管理運営に取り組むことのできるリーダーシップを有すること
- 「安全な医療の提供」を第一に考える姿勢と指導力を有し、また、医療安全管理の十分な知識と経験を有すること
- 東大病院又は東大病院以外の病院での組織管理経験を有し、高度かつ先端的な医療を提供する特定機能病院の管理運営能力を有すること
- 「先端的医療の開発」のため、医学研究について十分な知見を有し、関係する法律や倫理指針を遵守し、管理者として臨床研究を実践・指導する能力を有すること
- 「優れた医療人の育成」のため、学部学生や医師、メディカルスタッフの教育に熱意を持ち、 医師をはじめ多職種の研修プログラムを適切に運営できること
- 経営基盤の安定化に努め、適切な病院の経営判断ができること
- 大学執行部と連携して、大学が掲げる目標や課題に着実に取り組むことができること
以上
(令和6年度)東京大学医学部附属病院長候補者選考会議委員名簿
令和6年9月26日
役員会決定
氏名 | 職名 | 選定理由 | 任期 |
---|---|---|---|
齊藤 延人 (略歴) |
東京大学 理事・副学長(病院担当) |
病院を担当する理事 (東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第1号) |
令和6年10月1日~ 令和8年9月30日 |
相原 博昭 (略歴) |
東京大学 理事・副学長(経営企画担当) |
総長が指名する理事 (東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第2号) |
令和6年10月1日~ 令和8年9月30日 |
南學 正臣 (略歴) |
東京大学医学系研究科 研究科長・医学部長 |
医学部長 (東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第3号) |
令和6年10月1日~ 令和8年9月30日 |
野崎 智義 (略歴) |
東京大学医学系研究科 副研究科長・副医学部長 |
医学部長が指名する教職員 (東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第4号) |
令和6年10月1日~ 令和8年9月30日 |
島居 剛志 (略歴) |
東京大学医学部附属病院 病院長補佐(事務担当)・事務部長 |
病院運営審議会から推薦された教職員 (東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第5号) |
令和6年10月1日~ 令和8年9月30日 |
武村 雪絵 (略歴) |
東京大学医学部附属病院 病院長補佐(看護、ホスピタリティ担当)・看護部長 |
病院運営審議会から推薦された教職員 (東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第5号) |
令和6年10月1日~ 令和8年9月30日 |
中込 和幸 (略歴) |
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 理事長 |
国立精神・神経医療研究センター理事長であり、医師、病院管理者として病院運営・管理の豊富な経験を有し、病院運営の視点から医療及び医学に関する識見を有する学外者 (東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第6号) |
令和6年10月1日~ 令和8年9月30日 |
清水 至 (略歴) |
公認会計士 | 公認会計士として病院監査等の豊富な経験を有し、病院経営の視点から医療に関する識見を有する学外者 (東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第6号) |
令和6年10月1日~ 令和8年9月30日 |
- ※上記の委員が候補適任者となった場合は、委員を辞職する。(東京大学医学部附属病院長選考規則第6条第4項)
選考結果
氏名:田中 栄
専門分野:整形外科
選出事由:任期満了に伴う選出
任期:令和7年4月1日~令和9年3月31日
選考理由
人格が高潔で学識に優れ、病院長候補者選考会議で定めた東京大学医学部附属病院長選考基準の掲げる8つの資質・能力を十分に有するため。
選考過程
- 令和6年10月30日
第1回東京大学医学部附属病院長候補者選考会議(以下「選考会議」)において、東京大学医学部附属病院長に求められる資質・能力を示した「東京大学医学部附属病院長候補者選考基準案」を審議した。 - 令和6年11月28日
本学役員会にて「東京大学医学部附属病院長候補者選考基準案」を承認し、「東京大学医学部附属病院長候補者選考基準」を公示した。 - 令和6年11月29日
選考会議より医学部長に対し、病院長候補適任者の推薦を依頼。 - 令和6年12月5日
医学部長より病院長に対し、病院長推薦候補者の推薦を依頼。 - 令和7年1月6日
病院長より医学部長に対し、病院長推薦候補者を推薦。 - 令和7年1月22日
医学部長より選考会議に対し、病院長候補適任者を推薦。 - 令和7年1月23日
第2回選考会議において、病院長候補適任者の書類選考を実施。また、選考会議としての病院長候補適任者の追加は行わないことを決定。 - 令和7年2月19日
第3回選考会議において、病院長候補適任者に対し面接による選考を実施し、総長に推薦する病院長候補者を決定。 - 令和7年2月27日
総長が次期病院長を決定。