【プレスリリース】肝切除後の重篤な合併症「胆汁漏」を効果的に防ぐ合成ハイドロゲルシーリング剤を開発
2025年11月04日研究
―瞬時に固まり止血、時間とともに組織へ強固に接着―
東京大学大学院工学系研究科の石川 昇平 助教、酒井 崇匡 教授らの研究グループは、医学部附属病院血管外科の保科 克行 病院教授、大学院医学系研究科の松原 和英 大学院生(研究当時)らと共同で、肝切除後に生じる重篤な合併症「胆汁漏」を効果的に防止する新しい合成ハイドロゲルシーリング剤を開発しました。胆汁漏は、手術関連死につながることもある深刻な合併症です。既存の生体材料由来のシーリング剤や合成接着剤では十分な防止効果が得られず、新しい材料の開発が求められていました。本研究グループが開発したシーリング剤では、ポリエチレングリコール(PEG)を基材とし、独自の「時間差二段階反応」を採用しています。第一段階で瞬時にゲル化し出血や胆汁漏出を物理的に遮断した後、遅れて進行する第二段階の反応によりゲルと生体組織表面とを化学的に結合させることで、強固で長時間安定した接着を実現しました。ラット肝切除モデルを用いた実験では、本ハイドロゲルが1分以内に止血を達成し、既存のシーリング剤では防げなかった胆汁漏を効率的に防止することに成功しました。さらに、生体内での安全性評価でも術後炎症や肝障害はほとんど認められませんでした。これらの成果は、今後の臨床試験を経て、肝切除や移植手術などにおける胆汁漏防止剤として実用化される可能性を示しています。
本研究成果は、2025年11月3日(西ヨーロッパ時間)に「Advanced Healthcare Materials」のオンライン版で公開されました。
※詳細は添付ファイルをご覧ください。
ファイルを保存される方は、マウスの右クリックから「対象をファイルに保存」、「名前をつけて保存」などを選択して保存して下さい。

