脳腫瘍を特異的に標識する新規蛍光プローブの開発
この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
研究機関 東京大学医学部・脳神経外科
研究責任者 田中 將太・東京大学医学部 脳神経外科 特任講師
担当業務 研究統括・データ収集・匿名化・データ解析
東京大学大学院医学系研究科 生体物理医学専攻 医用生体工学講座 生体情報学分野
生体情報学 (浦野 泰照)
東京大学大学院薬学系研究科薬品代謝化学教室 (浦野 泰照)
平成22年より10年間
2010年2月14日 〜 2020年2月13日の間に当院脳神経外科で、診断または治療の目的で腫瘍組織の手術的採取または摘出を受ける患者の中で、この研究に関しての同意説明の後に文書による同意を得られた患者を対象といたします。
脳腫瘍の摘出手術において重要なのは、腫瘍組織と正常組織を識別し、正常脳の機能を温存しつつ腫瘍組織のみを的確に摘出することです。また、多くの脳腫瘍で腫瘍摘出率を向上させることにより、患者さんの生存期間を延長できることも示されています。東京大学では、これまでに生体内の酵素に反応して初めて蛍光を発するプローブを開発し、他癌種の手術診断などに応用してきました。この技術を応用して、正常脳組織と脳腫瘍組織を識別しつつ腫瘍を摘出することで、手術による安全、確実な腫瘍摘出が可能となり、さらに手術時間の短縮が期待できます。そこでこの研究では、実際の脳腫瘍を使って、脳腫瘍の手術で脳腫瘍蛍光診断を行うことのできる、脳腫瘍を特異的に標識する新規蛍光プローブの開発と検証を行うことを目的としています。
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。病気の診断または治療のために行う生検や手術の際に、採取あるいは切除した腫瘍組織(腫瘍が正常組織に浸潤している場合は、その組織を含む)の一部を使用します。すでに採取あるいは切除され、診断または治療に使用された余剰の組織を用いますから、研究にともなう身体への負担や危険性は全くありません。
採取した標本を用い、現在保有する各種のペプチダーゼ活性を持つ蛍光プローブ、あるいは新規に開発した蛍光プローブの中から、脳腫瘍に対し感度と特異度の高いプローブを選択します。なお、標本の一部は急速冷凍にて保存し、使用時に解凍して用います。このようにして選択した脳腫瘍特異的プローブを、採取後の脳腫瘍切除断端に散布し、その標識性を評価します。
また、上で述べた研究目的を達成するため、共同研究先には、個人情報が削除され個人を特定できない範囲での臨床情報が、受け渡されることがあります。
この研究に関わって収集される試料や情報・データ等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
また、あなたの人体試料や情報・データ等は、東京大学医学部脳神経外科及び、一部は共同研究施設に送られ解析・保存されますが、解析や送付前に氏名・住所・生年月日等の個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものか分からないようにした上で、当研究室において田中將太(管理責任者)が、個人情報管理担当者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコン、及び鍵のかかるロッカーで厳重に保管します。ただし、必要な場合には、当研究室においてこの符号を元の氏名等に戻す操作を行い、結果をあなたにお知らせすることもできます。
★この研究のためにご自分のデータを使用してほしくない場合は主治医にお伝えいただくか、下記の研究事務局まで2020年2月13日までにご連絡ください。ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせて頂きます。
研究結果は、個人が特定出来ない形式で学会・論文等で発表されます。収集したデータは厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。また、貴重な資料・試料は、許可を得て、より長期に保存させて頂くこともあります。なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。ご不明な点がありましたら主治医または研究事務局へお尋ねください。
この研究に関する費用は、東京大学大学院医学系研究科・医学部脳神経外科研究室の運営費・科研費などから支出されています。
2018年2月
東京大学医学部附属病院脳神経外科 特任講師 田中 將太
住所:東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-5800-8853(内線 37595) FAX:03-5800-8655