研究紹介

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研究内容


患者の皆さまへ 手術情報の登録について

当院にて脳腫瘍でご加療された方へ

この研究は、脳腫瘍の程度や進み具合、脳腫瘍になりやすいかどうか、脳腫瘍の治療に伴う効果や副作用の有無が、脳腫瘍の細胞で起こった遺伝子の変異、もしくは生まれながらの遺伝的素因と関係するかどうかを、脳腫瘍組織や血液などから取り出した遺伝子やそこから作られる産物を調べることによって診断・治療できるかどうかを検討することを目的としています。すなわち、血液や手術によって取り出された体の一部を診療記録とともに、この研究に利用させていただきたいのです。血液の採取は大きな危険を伴いません。また、手術は病気を治すために行うものです。病気によって異常を生じた腫瘍組織の一部、あるいは手術操作のために一緒に取り出さざるを得ない正常な体の一部で、診療のための分析には不要な部分を研究に利用させていただきます。

【研究課題】

脳腫瘍のゲノム・遺伝子解析とその臨床病理学的意義の解明(G10028)

【研究機関名及び本学の研究責任者氏名】

この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
研究機関 東京大学医学部・脳神経外科
研究責任者 田中 將太、宮脇 哲、高柳 俊作、高見 浩数・東京大学医学部 脳神経外科
担当業務 研究統括・データ収集・匿名化・データ解析

【共同研究機関】研究機関(責任者)
〈担当業務:試料・資料収集及び解析・データ解析〉
国立がん研究センター中央病院 脳神経外科(成田 善孝)
埼玉医科大学国際医療センター 脳脊髄腫瘍科(西川 亮)
杏林大学医学部 脳神経外科(永根 基雄)
獨協医科大学 脳神経外科(植木 敬介・金 彪)
東京都立神経病院 脳神経外科・検査科(小森 隆司・ 谷口 真)(*体細胞解析に限る)
〈担当業務:試料・資料収集・データ解析〉
東京女子医科大学 脳神経外科(村垣 善浩)
横浜市立大学 脳神経外外科(中村 大志)
大阪市立大学医学部 脳神経外科(高見 俊宏)
杏林大学医学部 病理学(柴原 純二)
東京警察病院 脳神経外科(楚良 繁雄・吉野 正紀)
埼玉医科大学総合医療センター 脳神経外科(松居 徹)
公立昭和病院 脳神経外科(堤 一生)
虎の門病院 脳神経外科(原 貴行)
NTT東日本関東病院 脳神経外科(井上 智弘)
〈担当業務:試料・資料解析・データ解析〉
東京大学 大学院医学系研究科 人体病理学・病理診断学分野(池村 雅子)
東京大学 大学院医学系研究科 分子病理学分野(宮園 浩平)
東京大学 大学院医学系研究科 細胞情報学分野(間野 博行)
東京大学 分子細胞生物学研究所 分子情報研究分野(秋山 徹)
東京大学 先端科学技術研究センター ゲノムサイエンス(油谷 浩幸)
東京大学附属病院 免疫細胞治療学講座(垣見 和宏)
東京大学 大学院医学系研究科 分子予防医学教室(寺島 裕也)
東京大学医学部 神経内科(田中 真生)
東京大学医学部附属病院 分子神経学講座(辻 省次) 
国立がん研究センター研究所 脳腫瘍連携研究分野(市村 幸一)
国立がん研究センター研究所 がんゲノミクス研究分野(柴田 龍弘)
熊本大学医学部 脳神経外科(武笠 晃丈)
東京医科歯科大学難治疾患研究所 ゲノム病理学分野(石川 俊平)
マサチューセッツ総合病院 病理学教室・癌ゲノムセンター(Mario Suva)
カリフォルニア大学サンフランシスコ校 脳神経外科・脳腫瘍研究センター <米国>(Joseph Castello)
マクギル大学 小児科<カナダ>(Nada Jabado)
米国コロンビア大学 癌ゲノム研究センター(Antonio Iavarone)
〈担当業務:受託シークエンス解析〉
タカラバイオ株式会社
ベックス株式会社

【研究期間】

 研究期間はヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会承認後から10年間(2021年09月28日まで)を予定しております。研究期間は、必要に応じて延長することがあります。

【対象となる方】

これまでに、東京大学医学部附属病院・脳神経外科において、診断または治療の目的で脳腫瘍組織の手術的採取または摘出を受けるまたは受けた患者を対象とする。
 組織型に関しては原発性および転移性脳腫瘍全般とし、年齢および性別には制限を設けない。
具体的には、神経膠腫、髄膜腫、神経鞘腫、その他より頻度の少ない腫瘍(転移性脳腫瘍・下垂体腺腫・髄芽腫・胚細胞性腫瘍・悪性リンパ腫・血管周皮腫・血管芽腫・頭蓋咽頭腫・類皮腫・類上皮腫・脊索腫・軟骨肉腫、神経芽腫、脂肪腫・脈絡叢乳頭腫・松果体実質腫瘍を含む脳腫瘍)を対象とする。

【研究の目的】

 この研究は、脳腫瘍の病気の程度や進み具合、脳腫瘍になりやすいか、脳腫瘍の治療薬は効きやすいか、副作用は起こらないかなどが、生まれながらの体質と関係するかどうかを、脳腫瘍組織や血液などから取り出した遺伝子を調べることにより正確に診断できるようにしようとするものです。なお、この研究のために使われる脳腫瘍組織や血液などは、医学の発展にともなって将来計画される別の研究にとっても貴重なものになる可能性がありますので、あなたの同意がいただけるならば、将来、脳腫瘍やその治療に関連する別の病気の遺伝子研究のためにもできましたら使わせていただけるようお願いいたします。

【研究の方法】

この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。
あなたの脳腫瘍の治療のために生検や手術を受ける場合には、採取あるいは切り取った組織の一部を使用します。この場合は、採取あるいは切り取ったあとの組織を用いますから、研究にともなう身体の危険性は全くありません。また、血液を通常の方法で約5〜10ml採血します。採血にともなう身体の危険性はほとんどありません。また、これらの組織に含まれるDNA、RNA、たんぱく質という物質を取り出し、これを調べます。「DNA」は、A、T、G、Cという四つの印の連続した鎖です。印は、一つの細胞の中で約30億個あり、その印がいくつかつながって遺伝子を司っています。このつながりが遺伝子です。一つの細胞の中には2万から3万個の遺伝子が散らばって存在しています。このなかのどの部分が、あなたの脳腫瘍の病気の程度や進み具合、脳腫瘍になりやすいか、脳腫瘍の治療薬は効きやすいか、副作用は起こらないかなどと関係があるかはまだはっきり分からない段階ですのでDNA・遺伝子のすべてについて調べる予定です。DNAから作り出されるRNA、たんぱく質についても同様です。これらのなかには脳腫瘍だけで起こっている情報と、あなたの体質と関連する親から子に受け継がれていく情報が含まれます。
こうやって調べたあなたの情報は、他の脳腫瘍の患者さんの情報と合わせて解析を行い、DNA・遺伝子のどの部分の情報が治療に役立てられそうかを調べます。
さらに、これまでの診療でカルテに記録されている血液検査や尿検査結果、画像検査、病理検査などのデータを収集して、ゲノム・遺伝子解析結果と照合し、その臨床病理学的意義の解明研究を行います。特に患者さんに新たにご負担いただくことはありません。
また、先に記載した本研究目的達成のため、前述の共同研究施設との共同研究を行うため、我々が採取した腫瘍や血液試料と、それに付随する個人が特定できない範囲での上記臨床情報を、解析実施機関へ送付することがあります。提供される試料や情報・データ等は、セキュリティーの確保された電子データとして、あるいは専門業者による郵送などにて各施設間にて授受を行います。

【個人情報の保護】

 この研究に関わって収集される試料や情報・データ等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
あなたの人体試料や情報・データ等は、東京大学医学部脳神経外科及び、一部は上記共同研究施設〈解析担当施設〉に送られ解析・保存されますが、匿名化できる個人情報については、解析や送付前に氏名・住所・生年月日等の個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものか分からないようにした上で、当研究室において管理責任者が、個人情報管理担当者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコン、及び鍵のかかるロッカーで厳重に保管します。ただし、必要な場合には、当研究室においてこの符号を元の氏名等に戻す操作を行い、結果をあなたにお知らせすることもできます。
また、ゲノムデータやゲノム情報については、上述の共同研究機関〈解析担当〉に送られ解析・保存されますが、解析担当施設の管理責任者により、個人情報管理担当者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコン、鍵のかかるロッカー等で厳重に保管されます。

★この研究のためにご自分のデータを使用してほしくない場合は主治医にお伝えいただくか、下記の研究事務局まで2021年9月28日までにご連絡ください。ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせて頂きます。

研究結果は、個人が特定出来ない形式で学会発表や学術雑誌及びデータベース上等で公表します。この研究はどの時点で同意を撤回することも自由ですが、一度研究の成果、遺伝子の情報を公開してしまいますと、その部分については取り消しが非常に難しくなることをご理解ください。また公表されると、その情報が別の研究者によって別の観点から解析される可能性があることもご承知いただきたいと思います。しかし研究成果、遺伝子情報を公表することにより、世界の研究者が情報を共有でき、あなたの病気の解明、治療法の開発がより早く進むと考えられます。

収集したデータは厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。しかし、将来の研究のための貴重な資源として、許可を得て、研究終了後も引き続き保管させて頂くこともあります。符号により誰の人体試料かが分からないようにした上で、使い切られるまで保管します。なお、将来、当該資料(試料)等を新たな研究に用いる場合は、改めて東京大学倫理委員会の承認を受けた上で用います。

なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。ご不明な点がありましたら主治医または研究事務局へお尋ねください。

2017年5月

【問い合わせ先】

東京大学医学部附属病院脳神経外科 田中 將太、宮脇 哲、高柳 俊作、高見 浩数
住所:東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-5800-8853(内線 37595)  FAX:03-5800-8655
Eメールでのお問い合わせ:tanakas-tky@umin.ac.jp

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