看護師特定行為研修(以下、特定行為研修とします)は、すべての特定行為区分に共通する「共通科目」と各特定行為に必要とされる能力を身につけるための「区分別科目」に分かれており、講義・演習・実習・試験によって行われます。なお、区分別科目の受講は、共通科目の履修修了が条件となります。当院は高度急性期医療、特に周術期医療や重症集中医療に強みを持つ病院であることから、当院における区分別科目は、「術中麻酔管理領域パッケージ」を提供しています。
共通科目・区分別科目は、学習の時間・場所を問わないe-ラーニングを主としていますが、定期的に指導者と研修生が集まる集合研修を組み合わせることで、研修生が効率よく学習を進めることができるようにカリキュラムを作成しています。当院に所属する各学会認定の指導医・専門医資格を有する医師を中心とし、講義・演習・実習を行います。区分別科目における特定行為研修は、当院の手術室または集中治療室での実習を予定しています。
当院における看護師特定行為研修の魅力は、循環器内科や呼吸器内科、臨床倫理センターや緩和ケア診療部、医療安全対策センターなど、幅広い診療科(部)からの協力体制があることです。共通科目の集合研修では、17の診療科(部)から合計28名の医師(2020年度10月開講実績)が看護師特定行為研修の指導者として関わりました。いずれも各学会認定の指導医・専門医資格を有し、医学部・研修医教育においてもわかりやすい指導・教育に定評のある指導者です。このような各分野の専門家が、自身の診療経験を踏まえて看護師特定行為研修の指導にあたり、病院全体としてこの研修事業に取り組んでいます。
臨床実践が円滑になるように学習環境や指導者のサポート体制を充実させ、学習効果が高められるよう特定行為研修推進室員一同が一丸となって研修受講生を支援します。
尚、当院の術中麻酔管理領域パッケージでは、以下の6区分・8行為の特定行為修得を目指します。
特定行為区分 | 特定行為 |
---|---|
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整 |
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | 侵襲的陽圧換気の設定の変更 / 人工呼吸器からの離脱 |
動脈血液ガス分析関連 | 直接動脈穿刺法による採血 / 橈骨動脈ラインの確保 |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 脱水症状に対する輸液による補正 |
術後疼痛管理関連 | 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整 |
循環動態に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整 |
1)共通科目(必修科目):特定行為区分別に共通して必要とされる能力を身につけるための科目(研修期間:6か月)
科目 | 講義 | 演習 | 実習 | 評価 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
臨床病生態理学 | 29 | 1 | ー | 1 | 31 |
臨床推論 | 26.5 | 16 | 1 | 1.5 | 45 |
フィジカルアセスメント | 17.5 | 8.5 | 13.5 | 5.5 | 45 |
臨床薬理学 | 32.5 | 11.5 | ー | 1 | 45 |
疾病・臨床病態概論 | 37 | 3 | ー | 1 | 41 |
医療安全学/特定行為実践 | 24.5 | 14 | 4.25 | 2.25 | 45 |
合計 | 167 | 54 | 18.75 | 12.25 | 252 |
※e-ラーニングによる講義は自宅または東京大学医学部附属病院 特定行為研修講義室での視聴が可能です。
※演習・実習等は集合形式で実施します。
2) 区分別科目(必修科目):各特定行為に必要とされる能力を身につけるための科目(研修期間:6か月)
術中麻酔管理領域パッケージの内訳は以下のとおりです。
特定行為区分 | 講義 | 演習 | 実習 | 評価 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | 8 | ー | 5症例 | 3.25 | 11.25+5症例 |
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | 11.5 | 4 | 10症例 | 4 | 19.5+10症例 |
動脈血液ガス分析関連 | 11.5 | ー | 10症例 | 6 | 17.5+10症例 |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 9 | 1 | 5症例 | 2.25 | 12.25+5症例 |
術後疼痛管理関連 | 6 | 1 | 5症例 | 2.25 | 9.25+5症例 |
循環動態に係る薬剤投与関連 | 9.5 | 1 | 5症例 | 2.75 | 13.25+5症例 |