クリニカルシミュレーションセンター

トレーニングコースの種類Training

 東大病院クリニカルシミュレーションセンターは、医療に関するさまざまなトレーニングを、専用機器を用いて現場から離れた環境で専念して行うことを目的とした教職員・医学生向けの研修施設であり、2021年に新しく発足しました。当院でも以前からより良い医療の提供のため、各診療部門・中央部門などでさまざまなトレーニングが行われて来ました。しかしながら、医療の発展に伴い数多くの医療機器・検査技術・治療手法が続々と登場しており、組織的・体系的なトレーニングの場が必要とされています。また、近年の仮想現実 (VR) や拡張現実 (AR) などの extended reality (XR) 技術を利用した機器の発展で、トレーニング手法自体もきわめて急速な発展を遂げています。このような背景のもと、東大病院ではその目標である「安全な医療の提供」「優れた医療人の育成」を達成するために、クリニカルシミュレーセンターを設置し、医学部や工学系の関連機関とも協力のうえ以下のような取り組みを行なっております。

1:シミュレータを用いた基本的手技トレーニングの実施

採血シミュレーター

 医療に限らず、何らかの技術を身につけるためには、適切な指導のもと繰り返し練習を行うことが重要です。当センターにはさまざまな「シミュレータ」と呼ばれる機器が整備されており、自主的にあるいは指導者の指導のもとそれらを用いて手技を身につけたり精度を高めたりするトレーニングが日夜行われています。

採血シミュレーター

シミュレータを用いて行われる代表的な手技としては、心臓や肺の聴診、静脈や動脈採血、末梢静脈カテーテルや中心静脈カテーテル挿入(点滴用の管を入れることを指します)、全身麻酔のための気管挿管、超音波検査、心肺蘇生 (AEDを含む) などがあります。

サービス名

心肺蘇生のトレーニングにおいては、胸骨圧迫(心臓マッサージ)の深さやテンポが数値で測定されるリアルタイム・フィードバック機能のついた装置を用いており、医療機関ならではの質の高い研修を行っています。これから医師を目指す医学科の学生はもちろんのこと、臨床研修医、専門研修中の医師など、あるいは看護師などを中心に日々積極的にトレーニングが行われています。

2:高機能患者シミュレータを用いた患者管理トレーニング

サービス名

 より進んだトレーニングとしては、実際の患者さんの生体の状態を忠実に再現した実物大の高機能患者シミュレータがあります。これは一般的な診察のトレーニングに用いることができるだけでなく、実際の人工呼吸器と接続しての呼吸管理や、救急受診したあるいは急変した患者さんへの初期対応やその後の全身管理などの高度なトレーニングにも用いられています。たとえば最近では、新型コロナウイルス感染症の患者さんを想定した、感染予防対策を講じた上での人工呼吸器・全身管理のトレーニングに有用であると考えられています。こういったトレーニングは基本的に複数のメンバーで行うことが多く、チームで多職種が連携して医療を提供するという、診療現場で極めて重要な能力を養ううえでも非常に有用な機会になっています。

3:各部門によるトレーニングの支援

サービス名

 たとえば当院の看護部では、看護技術の修得や向上のために定期的に各部署においてトレーニングが活発に行われています。当センターでは、それらが円滑で効果的に行えるよう、機器・施設・運営面などで支援を行なっております。また、特定機能病院である当院では、新規の医療機器を導入する場合や、習熟を要する医療機器(人工呼吸器・除細動装置・血液浄化装置など)の安全使用のため、法令に基づいて研修を行うことになっており、主に医療機器管理部が実施するそれらの研修開催も支援しております。

4:VRやARなどの技術を活用した先進的なトレーニングの推進と開発

 近年ゲーム機などでもおなじみですが、仮想現実 (VR) や拡張現実 (AR) などの技術が飛躍的な発展を遂げており、これらを利用したトレーニングも医療界全体で積極的に試みられております。当院でも、たとえば手術支援ロボットであるダヴィンチ (Da Vinci) において、実際の操作コンソールとVR画像を組み合わせたシミュレーション環境での外科医のトレーニングを今後予定しております。また、こういった最先端の治療だけではなく、採血や末梢静脈カテーテルの挿入といった基本的な手技においても、VRを用いた効果的なトレーニング手法について他機関と共同開発中です。当センターでは、今後ともこういった技術を取り入れた先進的なトレーニングの推進や開発に取り組んで参りたいと思います。

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