東大病院クリニカルシミュレーションセンターは、医療に関するさまざまなトレーニングを、専用機器を用いて現場から離れた環境で専念して行うことを目的とした教職員・医学生向けの研修施設であり、2021年に新しく発足しました。
近年、医療安全・患者安全やトレーニングの有効性を高める観点から、専門的な臨床手技修得や医療職の卒前教育・卒後研修において、実際の医療現場を模した各種の疑似環境の中で行うシミュレーション基盤型医学教育の有用性が認識され広く取り入れられています。
当院でも従来から、各診療科・看護部・総合研修センターなどで,職員や医学部学生などに対してシミュレーター等を用いたさまざまな教育・研修が実施されてきました。
シミュレーション基盤型医学教育の手法としては、従来行われてきた模擬患者(SP)、ロールプレイ、マネキン、臓器モデル等にとどまらず、デジタル技術の発展にともない拡張現実 (AR)・仮想現実 (VR) を用いたトレーニング、遠隔トレーニングなどが発展しつつあり、これらを取り入れることでさらなるトレーニングの活用及び推進が期待されます。
このような背景のもと、当センターはシミュレーション基盤型医学教育を通じて未来の医学・医療を担う高度人材を継続的に養成し、東大病院ならびに社会における高度で安全な医療の実現に資することに加え、医・工・産の連携などにより革新的なデジタル教材、教育機器や教育コースの開発、社会実装を行う組織となることを目指します。
クリ二力ルシミュレーションセンター
センター長 江頭 正人
近年、医療安全・患者安全やトレーニングの効率の観点より、学部教育・臨床研修から専門的な臨床手技習得に至るまで、実際の医療現場を模した各種の疑似環境の中で行うシミュレーション基盤型医学教育が重視されています。そこで、東京大学医学部附属病院においてシミュレーション基盤型医学教育をより高い専門性をもって強化するべく、クリニカルシミュレーションセンターを設立しました。当センターでは、シミュレーション基盤型医学教育によって従来の現場教育を補完し、院内の職員、医学生、看護学生、若手の医療者を中心として、誰もが一定のレベルに到達できるようサポートし、本院の目標のひとつである「優れた医療人の育成」を果たしたいと考えています。
さらに、デジタル技術の発展によるフィジカルとサイバー空間の融合が急速に現実味を帯びている昨今では、医学・医療分野においても、AR・VR を用いたトレーニング、遠隔トレーニングなどの関連技術を用いたトレーニングの活用が推進されることが予想されます。この傾向を踏まえ、医・工・産の連携などにより革新的なデジタル教材、教育機器や教育コースの開発、社会実装をおこなうセンターを目指します。