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外科

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Ⅰ.プログラムの名称

外科卒後臨床研修プログラム

Ⅱ.プログラムの目的と特徴

本院では、平成19年度より従来行われていた各外科個別のカリキュラムに替わり、本院外科系診療科が協力し、共通の理念と到達目標を掲げた研修プログラムを新たに策定した。

Ⅱ-1.本院外科研修プログラムの理念

初年度に3か月間実施される外科研修では、外科系各診療科に特有の疾患や手術を経験することよりも、「一般的な診療において頻繁に関わる疾病または負傷に適切に対応するために必要な基本的外科診療能力を身に付けること」を目標とする。即ち、縫合や創傷処置等の基本的手技を確実に行えるようになること、手術前後の全身管理の基本ができるようになることに重点が置かれる。これら必修到達目標は、on the job trainingとして習得できるよう、下記のように標準化され、いずれの外科系診療科を選択した場合でも到達が可能となる。
また、厚生労働省が掲げる到達目標で経験すべきとされる疾患・病態を、外科系診療科における研修期間中に出来るだけ幅広く研修できるよう、3か月間の外科研修期間を1単位1.5ヶ月とし、希望に応じて最大二診療科で研修を受けることも可能とした。

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Ⅱ-2.研修可能な外科系診療科


(1) 大腸・肛門外科/血管外科
(2) 肝・胆・膵外科/人工臓器・移植外科
(3) 胃・食道外科/乳腺・内分泌外科
(4) 心臓外科/呼吸器外科
(5) 小児外科
(6) 泌尿器科・男性科
(7) 脳神経外科
(8) 耳鼻咽喉科・聴覚音声外科
(9) 整形外科・脊椎外科
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Ⅲ.教育課程

Ⅲ-1.必修到達目標

(1) 基本的手技
  • 圧迫止血法を実施できる
  • 包帯法を実施できる
  • 注射法(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈確保)を実施できる
  • ドレーン・チューブ類の管理ができる
  • 局所麻酔法を実施できる
  • 創部消毒とガーゼ交換を実施できる
  • 簡単な切開・排膿を実施できる
  • 皮膚縫合法を実施できる
  • 軽度の外傷・熱傷の処置を実施できる
(2) 周術期の基本的治療法
  • 療養指導(安静度、体位、食事、入浴、排泄、環境整備を含む)ができる
  • 薬物の作用、副作用、相互作用について理解し、薬物治療(抗菌薬、副腎皮質ステロイド薬、解熱薬、麻薬、血液製剤を含む)ができる
  • 基本的な輸液ができる
  • 輸血(成分輸血を含む)による効果と副作用について理解し、輸血が実施できる
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Ⅲ-2.外科研修期間に経験できる疾患・病態


外科系診療科における研修期間には、他の研修期間では十分経験できない疾患・病態やそれに対する外科的治療を経験することができる。厚生労働省が掲げる臨床研修の到達目標で経験すべきとされたものの内、初期研修を担当する9診療科において特に経験できるものを以下に列挙する。これらは全ての外科系診療科において経験可能な訳ではないので、特に希望するものがある場合には充分検討の上、研修希望を提出すること。

(1)神経系疾患
(1)脳・脊髄血管障害(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)
(2) 脳・脊髄外傷(頭部外傷、急性硬膜外・硬膜下血腫)
(2)運動器(筋骨格)系疾患
(1)骨折
(2) 関節・靱帯の損傷及び障害
(3) 脊柱障害(腰椎椎間板ヘルニア)
(3)循環器系疾患
(1)心不全
(2)狭心症、心筋梗塞
(3) 弁膜症(僧帽弁膜症、大動脈弁膜症)
(4) 動脈疾患(動脈硬化症、大動脈瘤)
(5) 静脈・リンパ管疾患(深部静脈血栓症、下肢静脈瘤、リンパ浮腫)
(4)呼吸器系疾患
(1)胸膜、縦隔、横隔膜疾患(自然気胸、胸膜炎)
(2) 肺癌
(5)消化器系疾患
(1)食道・胃・十二指腸疾患(食道静脈瘤、胃癌、消化性潰瘍、胃・十二指腸炎)
(2) 小腸・大腸疾患(イレウス、急性虫垂炎、痔核・痔瘻)
(3) 胆嚢・胆管疾患(胆石、胆嚢炎、胆管炎)
(4) 肝疾患(ウイルス性肝炎、急性・慢性肝炎、肝硬変、肝癌、アルコール性肝障害、薬物性肝障害)
(5) 横隔膜・腹壁・腹膜(腹膜炎、急性腹症、ヘルニア)
(6)腎・尿路系(体液・電解質バランスを含む)
(1)腎不全(急性・慢性腎不全、透析)
(2) 泌尿器科的腎・尿路疾患(尿路結石、尿路感染症)
(7)妊娠分娩と生殖器疾患
(1)男性生殖器疾患(前立腺疾患、勃起障害、精巣腫瘍)
(8)内分泌・栄養・代謝系疾患
(1)視床下部・下垂体疾患(下垂体機能障害)
(2) 甲状腺疾患(甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症)
(9)耳鼻・咽喉・口腔系疾患
(1)中耳炎
(2) 急性・慢性副鼻腔炎
(3) 扁桃の急性・慢性炎症性疾患
(4) 外耳道・鼻腔・咽頭・喉頭・食道の代表的な異物
(10)免疫・アレルギー疾患
(1)慢性関節リウマチ
(11)小児疾患                
(1)小児けいれん性疾患
(2) 先天性心疾患
(3) 小児外科疾患
以上のような疾患・病態及びそれに対するプライマリ・ケアに必要な知識や技術の理解を深めるため、外科研修と救急研修を合わせた6か月間のon the job trainingに加えて、外科研修セミナー(講義または実技指導)を開講する。本セミナー指導には全ての外科系診療科が参加する。
>外科セミナー日程表
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Ⅲ-3.志望調査及び診療科の決定法


外科系研修では到達目標を設定し、どの診療科でも標準的な研修が提供できるようカリキュラムを設定している。また、十分な研修指導を提供できることを前提に、可能な限り希望順位の高い診療科で研修できるよう配慮する。実際に研修を行う診療科については、各自に研修診療科の希望を提出し、最大限希望に沿うよう決定する。各診療科の研修受入可能人数の関係等で研修機会が偏ると判断される場合には、希望の診療科以外での研修をお願いすることもある。
3か月間の研修期間中に、1.5か月ずつ二診療科を選択することが可能である。ただし、3か月間の研修期間の少なくとも1.5か月は大腸・肛門外科/血管外科、肝・胆・膵外科/人工臓器・移植外科、胃・食道外科/乳腺・内分泌外科、心臓外科/呼吸器外科の4診療科から選択する必要がある。これら4診療科については、同じ診療科を3か月通して選択することも可能である。

希望調査
以下の(1)または(2)を選択する。
(1)3か月通して1診療科を選択する
(2) 1.5か月ずつ2診療科を選択する
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Ⅲ-4.各診療科の個別プログラム


大腸・肛門外科/血管外科

(1) 指導可能な研修医数・指導体制
指導可能な研修医は13名まで、病棟は腫瘍5チームと血管1チームの計6チームで構成される。各チームは卒後13年目以上の指導医2〜3名、卒後5年目以上の若手指導医1名で管理・運営され、研修医は各チーム2名で指導可能である。
(2) 経験できる代表的疾患
当科の平成24年の年間手術件数は629例である。各研修医はおおまかに以下の症例を研修可能である。

[腫瘍チーム]
消化管癌(大腸癌、胃癌等) 8〜12例/月
炎症性腸疾患 1〜2例/月
鼠径ヘルニア 1〜2例/月
[血管チーム]
閉塞性動脈硬化症 5例/月
腹部大動脈瘤 4例/月
下肢静脈瘤 5例/月
頚動脈狭窄 1〜2例/月
(3) 研修スケジュール
月曜日 手術日 8:30〜9:30 術前術後症例検討会
火曜日 手術日
水曜日 8:00〜9:00 術前術後症例検討会、病棟
木曜日 手術日
金曜日 8:30〜9:30 術前術後症例検討会、病棟
土曜日 (午前)病棟
日曜日 休日
当科はチーム医療が徹底しており、終日チームで行動する。研修医も指導される側として受け身で参加するのではなく、チームの一員として積極的に診断や治療方針決定に関与することを要求されるので、あらん限りの知恵を絞って欲しい。
手術は各チーム週に3〜4件で、研修医は全例に第2助手として参加する。閉腹、皮膚縫合は研修医が行い、意欲の高い 研修医には鼠径ヘルニア、下肢静脈瘤の術者を当てることもある。また、術前術後のプレゼンテーションは研修医が行い (日本語)、前日は指導医が密着指導する。
(4)アピールしたいこと
当科では消化管腫瘍や炎症性腸疾患を中心に扱う腫瘍チームと腹部大動脈瘤と末梢血管を扱う血管外科チームが協調して診療を行っている。特に、血管外科は心臓血管外科と異なり、全国でも数施設しかない一般外科をベースにした末梢血管外科である。高齢化社会で重要性を増しつつある癌と末梢血管を研修できるのが当科の特徴で、希望すれば研修期間を2つに分けて両者を研修することができる。外科志望の研修医にとっては外科専門医取得に必須の大血管の症例を経験できると いう点でも有用である。また大腸癌の低侵襲手術にも積極的に取り組んでおり、Davinci ロボット手術を週一回のペースで行っている。低侵襲手術手技は今後身につけておかなくてはならないものであるので積極的に参加してほしい。
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肝・胆・膵外科/人工臓器・移植外科

(1) 指導可能な研修医数、指導体制
当科では現在、臨床チームが6チームあり(移植2チーム、肝胆膵4チーム)、それぞれに指導医が付く。各チームは、常時10名から15名の患者を持っているため、2名の研修医で受け持ってもらうことも可能であり、従って12名までの研修、指導が可能ということになる。手術を中心とした診療は、上記チーム単位で行なわれており、指導医の下に1名から4名の受持ち医がおり、受持ち医も研修医を実地で指導する。なお、当科では外科学会理事長でもある教授自ら週2日から4日の回診を行っており、研修医も教授から直接指導が受けられる体制となっている。
(2) 経験できる代表的疾患
「臨床研修の到達目標」の「経験が求められる疾患・病態」の中の疾患
(1)(3)悪性リンパ腫 5例/年
(6)(7)肺癌 12例/年
(7)(1)食道・胃・十二指腸疾患 112例/年(食道静脈瘤 100例/年、消化管潰瘍 12例/年)
(7)(2)小腸・大腸疾患 24例/年(イレウス 6例/年、急性虫垂炎 6例/年)
(7)(3)胆嚢・胆管疾患 114例/年(胆石 24例/年、胆嚢炎 30例/年、胆管炎 60例/年)
(7)(4)肝疾患 480例/年(ウィルス性肝炎150例/年、急性・慢性肝炎 80例/年、肝硬変 80例/年、肝癌150例/年、アルコール性肝障害 10例/年、薬物性肝障害 10例/年)
(7)(5)膵疾患 20例/年(急性・慢性膵炎 20例/年)
(7)(6)横隔膜・腹壁・腹膜 29例/年(腹膜炎 12例/年、急性腹症 12例/年、ヘルニア 5例/年)
(8)(1)腎不全 36例/年(急性・慢性腎不全 24例/年、透析 12例/年)
(10)(4)糖代謝異常 36例/年(糖尿病 36例/年)
(14)(1)ウィルス感染症 24例/年(ヘルペス 36例/年)
(14)(2)細菌感染症 24例/年(MRSA 24例/年)
(14)(3)結核 3例/年
(14)(4)真菌感染症 5例/年(カンジダ症 6例/年)

「臨床研修の到達目標」の「経験が求められる疾患・病態」以外の疾患
大腸癌 12例/年
胆嚢・胆管癌 30例/年
肝内結石 3例/年
良性肝腫瘍 10例/年
劇症肝不全 5例/年
自己免疫性肝疾患 20例/年
膵癌 30例/年
先天性代謝異常症 3例/年
(3) 研修スケジュール
月・水・金曜日: 手術日−手術症例の受持ちの場合は手術に入り、第二或いは第三助手として手術に参加する。糸結びから切開・縫合等、段階を経て研修してもらう。手術がない時は、火・木曜日の症例カンファレンスの準備として、患者の診察、検査結果の検討、超音波検査の施行、画像診断、文献検索等を指導医或いは受持ち医と共に行う。
火・木曜日: 回診日−朝の症例カンファレンスで事前に準備した症例に関して詳細なプレゼンテーションを行う。続いて行われる教授回診でも受持ち症例に関する簡潔なプレゼンテーションを行うことにより、プレゼンテーションのトレーニングをしてもらう。術前日には指導医・受持ち医と共に手術症例の術後の検査計画・輸液計画を立て、準備を整える。
土・日曜日: 移植カンファレンスがあり、移植患者の術前・術後管理を学習する。その後、教授回診があり、教授から受持ち症例に関するアドバイスを直接受けることができる。
(4) アピールしたいこと
当科は世界有数の肝胆膵・移植外科のHigh Volume Centerです。扱う疾患の性質上、手術侵襲が大きく、緻密な術前、術後管理を要するため、研修医の業務量も必然的に多くなりますが、それは言い換えれば短期間に濃密な経験が可能ということになります。
実際、ベッドサイドでの腹部超音波検査や包交処置のみならず、胸水穿刺や中心静脈穿刺などの周術期管理で積極的に手技に参加していただきます。当科のような高侵襲手術の急性期管理を上級医の指導のもとに主体的に行って頂くことで、急性期患者の全身管理能力が自然と身につきます。当科の患者さんを一貫して診察することで、将来どの診療科に進んだとしても、患者さんの変化に敏感に気付いて迅速に対応できる基本的感覚を育てられるでしょう。
その他、研修医対象のクルズス、英語のプレゼンテーション教室を開催しております。
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胃・食道外科/乳腺・内分泌外科

(1) 指導可能な研修医数、指導体制
研修医は8名まで受入れ可能である。病棟は乳腺・内分泌1チーム、胃・食道3チーム体制を取っていて、各チームに1〜2名の研修医が配属される。指導者は各チーム2-3名ずつ配属されている。
(2) 経験できる代表的疾患
入院患者の受持ちは、研修医毎に常時8-15名程度である。研修医毎の手術経験数は、胃・食道は4件/月、乳腺・内分泌は10件/月程度である。
当科において経験できる疾患(例数は当科での平均的年間手術数である。保存的治療例は含まない。

(1) 研修制度における指導ガイドラインにある経験すべき疾患
胃・食道外科: 胃癌120件(含腹腔鏡手術50例)、消化性潰瘍5件、イレウス10例、虫垂炎10例、胆石症10例、ソケイヘルニア25例
乳腺内分泌外科: バセドウ病5件
(2) 指導ガイドラインにはないが当科で経験できる重要な疾患
胃食道外科: 食道癌25例
乳腺内分泌外科: 乳癌125例、甲状腺癌25例、副腎腫瘍10例
(3) 研修スケジュール
  • 研修1〜2週目に数回、基本事項についてのクルズスを行う。
  • 定時手術は火・水・木曜日に行われる。研修医は助手として参加(手洗い)する。
  • 手術症例カンファランスは火曜日夕方と水・木・金曜日朝に行われる。
  • 火曜日夕方の術前カンファランスは上級医の指導の下、研修医が行う。
  • 勤務時間は平日平均7時〜21時である。
  • 休日は土・日曜日半日ずつ取得している。
  • 当直は月4回程度である。必ず指導医と一緒である。重大な緊急時以外、仮眠は十分取れる。
(4) アピールしたいこと
当科では上部消化管、乳腺、甲状腺の悪性腫瘍を中心とした疾患について、診断、治療方針の立案、外科治療または保存的治療、術前・術後管理、化学療法、終末期医療まで、一貫した経験を積むことができる。限られた期間でも、1つのことを深く経験できるので有意義な研修と成り得る。内視鏡を中心とした術前・術後検査も当科は自ら行っているので、これらについても学ぶことができる。
また、早期胃癌や副腎腫瘍等に対する腹腔鏡下手術の経験も豊富で、症例も多い。
開腹手術は、一般に助手として参加しても術野から遠いが、鏡視下手術では画面を通して術野を共有して深い理解を得ることができる。
希望する研修医には学会発表の機会も与えられる。
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心臓外科・呼吸器外科

(1)指導可能な研修医数、指導体制
成人心疾患、大動脈疾患、重症心不全、先天性心疾患、肺・縦隔疾患の5チームに分かれており、各チーム1〜2名で、最大6名まで十分な指導が可能である。
(2)経験できる代表的疾患
経験できる代表的な疾患は配属されるチームによる異なる。「臨床研修の到達目標」の「経験が求められる疾患・病態」の中では、各チームでそれぞれ下記の症例が経験できる(各症例数は概数である)。

成人心疾患 狭心症・心筋梗塞(5例/月)、弁膜症(5例/月)、心不全(3例/月)、
不整脈(2例/月)、高血圧症(5例/月)、糖代謝異常(2例/月)
大動脈疾患 動脈疾患(5例/月)、高血圧症(5例/月)
重症心不全 心筋症(10例/月)、心不全(10例/月)、不整脈(3例/月)、細菌感染症(3例/月)
先天性心疾患 先天性心疾患(10例/月)
肺・縦隔疾患 胸膜・縦隔・横隔膜疾患(5例/月)、肺癌(15例/月)

最近は合併症を有する患者の手術・治療の割合が増えており、上記の循環器系疾患や呼吸器系疾患に限らず、様々な症状や広範囲の疾患・病態を経験することができる。
(3)研修スケジュール
                 
臨床カンファランス: 平日7時15分〜8時30分
手術報告、重症患者の経過報告、入院患者のプレゼンテーション、一般病棟患者の経過報告等を行う。可能な限り英語でプレゼンテーション等を行い、医学英語力の向上にも努めている。
チーム回診: 朝9時頃より、平日夕方18時頃より
チームの上級医とともに、入院中の患者の治療方針や問題点について検討を行う。また、術後の創部消毒やガーゼ交換などの手技を習得する。
病棟回診(火曜日): 教授の指導のもと、病棟患者の経過や問題点について簡潔にプレゼンテーションする能力を身につける。
手術日(月・水・金曜日): 受持ち患者の手術室入室(8時〜8時30分)及び麻酔導入に立ち会う。手術には手洗い参加が可能であり、切開・縫合・結紮等の基本的手技を中心に、心臓や肺・縦隔の解剖を学ぶことができる。手術後は集中治療室への患者の搬送・入室に参加し、手術直後の全身管理やドレーン類の管理について学ぶ。
(4)アピールしたいこと
臨床研修指定病院の中で最も多くの胸部外科症例(年間:心臓・大動脈400例以上、肺・縦隔300例以上)を有する施設の1つである。成人心疾患、大動脈疾患、重症心不全、先天性心疾患、肺・縦隔疾患の各チームで、各種疾患の病態診断、呼吸・循環管理を学ぶことができる。各チームとも常に上級医・指導医が院内に待機しており、治療方針や患者の処置・対応などについて研修医が相談しやすい環境である。創部消毒・皮膚縫合法・中心静脈穿刺の基本的手技はもとより、外科希望者は開胸や胸骨正中切開を含む小手術を行うこともできる。当科における臨床経験は外科専門医の資格認定のためにも必須である。また、胸部外科において手術適応やその適切なタイミングについて学ぶことは将来循環器内科・呼吸器内科や総合診療医を目指す研修医にとっても非常に有意義なものと思われる。
呼吸器外科(肺・縦隔疾患)では、入院患者の診療・手術だけでなく、呼吸器キャンサーボード(毎週木曜日)、胸部疾患検討会(第3木曜日)における画像診断・病理診断の勉強、呼吸器外科抄読会(第4金曜日)などの学習の機会が多く用意されている。心臓外科・呼吸器外科ともに、希望する研修医には学会発表の機会も与えられる。
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小児外科

(1)指導可能な研修医数、指導体制
最大で各期2名まで。小児外科指導医、小児外科専門医が指導する。
(2)経験できる代表的疾患
研修医が経験すべき病態や疾患を幅広く経験することが可能である。具体的には、呼吸器感染症、呼吸不全、小児ソケイヘルニア、臍ヘルニア、新生児外科疾患(横隔膜ヘルニア、腸閉鎖、鎖肛、腹壁異常等)、消化管疾患(食道静脈瘤、胃潰瘍、ヒルシュスプルング病、GER、メッケル憩室、イレウス、虫垂炎、痔瘻等)、悪性腫瘍(神経芽腫、腎芽腫、肝芽腫等)、肝胆膵疾患(胆道閉鎖症、胆道拡張症、肝硬変、門脈圧亢進症、膵炎等)、小児泌尿・生殖器疾患(尿路感染症、停留精巣、包茎、水腎症、膀胱尿管逆流症、卵巣腫瘍等)

上記に掲げた症例群が15〜30例/月/名程経験できる。
(3)研修スケジュール
毎週月・水・金曜日午前は症例検討会、火・木曜日は手術日、月二回の勉強会、年二回の症例検討会、その他各種検査(造影、シンチグラム、内視鏡、CT等)を適宜行う。土曜日は午前中勤務、日曜日は休日が原則である。
(4)アピールしたいこと
小児の術前・術後輸液管理では体重、年齢換算が必要であり、これを経験すると輸液量の基本的な計算方法や輸液の原理がはっきりと理解できる。また、成長を考えた治療を基本にするため、栄養管理についても深い理解が得られる。採血、点滴についても小児の難しい例を経験すると、成人での手技に自信が付く。小手術が多いので、皮膚縫合や皮下縫合、創処置等が多く経験できる。また、小児外科は腹部以外にも胸部、泌尿・生殖器等も扱うので、幅広い臓器の疾患を経験できる。
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泌尿器科・男性科

(1)指導可能な研修医数、指導体制
指導可能な研修医数は3名。病棟担当医師は4グループに分かれ、病棟医長(准教授)統括の下、オーベン(全員指導医:講師4名)、ネーベン(専門医2名、卒後4年目2名、助手4名)。
外来担当医師は外来医長(准教授)統括の下、外来専属担当医2名(いずれも指導医)。
(2)経験できる代表的疾患
(厚生労働省の「臨床研修の 到達目標」の「経験が求められる疾患・病態」の分類)
(1)血液・造血器・リンパ網内系疾患
④出血傾向・紫斑病(DIC) 1例/月(悪性患者末期、感染症)
(2) 神経系疾患
神経因性膀胱・直腸障害 5例/月(主に外来コンサルト症例)
(5) 循環器系疾患
心不全、狭心症、不整脈症例における術前・術後管理 10例/月
高血圧 10例/月(腎血管性高血圧を含む)
(6) 呼吸器疾患
気管支喘息、肺気腫 3例(術前・術後管理)
(7) 消化器系疾患
5例(術後イレウス、腹膜炎、ヘルニアを含む)
(8) 腎・尿路系疾患
①腎不全(急性・慢性腎不全・透析) 5例/月
④泌尿器科的腎・尿路疾患 20例/月
(9) 生殖器疾患
男性生殖器疾患 20例/月
(10) 内分泌・代謝疾患
主に副腎疾患 1例/月
(14) 感染症
性感染症 10例/月(外来症例)
(18) 加齢と老化
老年症候群(誤嚥、転倒、失禁) 5例/月
【入院患者】
前立腺癌 10例/月(腹腔鏡手術1例、開腹手術7例、ホルモン療法等の化学療法2名)
前立腺癌疑い 30例/月(前立腺生検、経直腸エコー、尿流動態検査を全例に実施)
腎癌 4例/月(腹腔鏡手術2例、開腹手術2例)
副腎疾患 1例/月(腹腔鏡手術)
腎盂尿管癌 5例/月(腹腔鏡手術3例、開腹手術2例)
膀胱癌 10例/月(経尿道的手術9例、膀胱全摘・尿路変更1例)
前立腺肥大症 3例/月(経尿道的手術、温熱療法を含む)
精巣癌 2例/月(手術、化学療法)
尿管結石 8例/月(経尿道的手術、経皮的手術5例、ESWL3例)
【主に外来手術】
腎瘻留置・交換、
DJ(尿路)ステント留置術
30例/月
透析シャント造設 4例/月
逆行性腎盂尿管検 8例/月
精巣生検 2例/月
包茎手術 1例/月
(3)泌尿器科診療スケジュール
教授回診 毎週水曜日午前
症例カンファレンス 毎週水曜日夕方
病棟医長回診 毎週金曜日夕方
抄読会 毎週水曜日朝8時
手術日 火・木・水曜日(主に生検、内視鏡手術のみ)
病棟生検 金曜日、外来手術(シャント、精巣生検、包茎、ESWL)週平均2〜3例
病理カンファレンス 月1回
地方会 月1回
研究会 月1回
▼月曜日
8:30〜17:00 病棟のチーム毎の回診、包交等の術後管理、術前・化学療法患者の管理、医療面接
外来処置担当研修医は9:00〜13:00、午後は外来検査・外来手術
▼火曜日
8:00〜17:00 病棟のチーム毎に手術に助手として参加、皮膚・筋膜切開、術中助手、ドレーン留置、閉創
術後、病棟・HCUでの術後管理
▼水曜日
8:30〜 9:30 病棟のチーム毎の回診、教授回診準備
9:30〜11:30 教授回診、担当症例のプレゼンテーション実施
13:00〜15:30 手術(主に前立腺生検、内視鏡手術の助手)
15:30〜18:30 病棟のチーム毎の回診、包交等の術後管理、術前患者の管理、医療面接
18:30〜20:00 医局にて外来症例、他科コンサルト症例のカンファレンス
▼木曜日
8:00〜17:00 病棟のチームごと毎に手術の助手として参加、皮膚・筋膜切開、術中助手、ドレーン留置、閉創
術後、病棟・HCUでの術後管理
▼金曜日
8:00〜 9:00 抄読会2週に1度 英文雑誌の抄読会での発表
9:00〜17:00 病棟のチーム毎の回診、包交等の術後管理、病棟生検、術前・化学療患者管理、医療面接
外来処置担当研修医は9:00〜13:00、午後は外来検査・外来手術
▼土・日曜日
午前中 担当患者の病棟処置(当番制)
将来選択を希望する診療科に応じて、受持ち患者を選別、腎臓内科希望者→シャント手術、CAPDカテ入れの手術に優先的に入る等を行っている。
1年次研修医は当直なし、2年次研修医は月2回当直(卒後4年目以上と当直)
(4)アピールしたいこと
入院・外来症例をバランス良く担当することによって、多岐にわたる腎・尿路系疾患を体験できる。尿路悪性腫瘍のみならず、良性疾患の術前・術後管理の中で、外科的基本処置を実習できる。また、他診療科の疾患による腎不全への対応・管理や尿路奇形・外傷に至るまで、豊富に症例を経験できる。将来の志望科に即した症例の選択も可能である。
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脳神経外科

(1)指導可能な研修医数、指導体制
助教−後期研修医(卒後3年目)−スーパーローテーターによる3名の屋根瓦形式チーム編成が2チーム。
特任臨床医-スーパーローテーターによる2名、マンツーマンのチーム編成が3チーム。本形式で1・2年目のスーパーローテーターを併せ、計5名まで指導が可能となる。今年度の状況は2年目に脳神経外科を選択してくれたローテーターはどの月も1名が最大であった。来年度も同じ状況が続くと仮定すると、1年目の研修医は4名まで指導可能となる。
チームに編入することで系統的指導が可能となると考える。患者割振により複数の上級医の指導を仰がなくてはならない状況は回避できる。
(2)経験できる代表的疾患
厚生労働省の「臨牀研修の到達目標」の「経験が求められる疾患・病態」
(2) 神経系疾患
①脳・脊髄血管障害(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血):2〜3例
②認知症(アルツハイマー病、脳血管性痴呆)正常圧水頭症:2〜3例
③脳・脊髄外傷(頭部外傷、性硬膜外・硬膜下血腫):2〜3例
⑤脳炎・髄膜炎:1〜2例
(5) 循環器系疾患
⑧高血圧症(本態性、二次性高血圧症)脳卒中危険因子として多数
(10) 内分泌・栄養・代謝系疾患
①視床下部・下垂体疾患(下垂体機能障害):1〜2例
④糖代謝異常(糖尿病、糖尿病の合併症、低血糖)
⑤高脂血症 脳卒中危険因子として多数
(13) 精神・神経系疾患 2〜3例
①症状精神病
②認知症(血管性認知症を含む)
(17) 小児疾患
①小児けいれん性疾患:1〜2例
厚生労働省の「臨牀研修の到達目標」の「経験が求められる疾患・病態」以外
平成16年度の脳神経外科における手術件数は、脳内出血等:124例、頭部外傷の手術:9例、動脈瘤クリッピング:18例、脳動静脈奇形の手術:5例、良性脳腫瘍:90例、神経膠腫:43例、脳腫瘍生検術:8例、てんかん手術:23例、脊髄手術:11例、ガンマナイフ:126例
慢性硬膜下血腫に対する穿頭血腫洗浄ドレナージ術:30例(平成15年度)

研修期間中に受持つ可能性は高く、各自の能力により研修期間中の治療経験を検討する。
研修期間により上記を割り振ることになる。
(3)研修スケジュール
[週間スケジュール]
月・水・金曜日 午前8時から病棟カンファレンス(金曜日は抄読会後。その他、病棟業務一般。
火・木曜日 手術日。担当チームは午前8時に手術室入室。
土曜日 午前10時から病棟医長による回診、以後解散。
日曜日 常勤医が当直の場合を除き休日。受持ち患者の状況に応じての休日出勤を咎めるものではない。
 研修医の勤務時間は60時間/週を目安とし、多くとも80時間以内に設定している。
[他科合同カンファレンス]
脳腫瘍病理カンファレンス 1〜2ヶ月に一度。神経系カンファレンス(神経内科・放射線科・脳神経外科合同)3ヶ月に一度。
(4)その他アピールしたいこと
1か月あれば体系的な神経検査を身に付けることが可能である。同時に、内科系に進んでも決して見逃しの許されないクモ膜下出血の診断治療を経験できるのはこの時期しかない。数例の卒中急性期急性期治療を経験すれば、卒中急性期一般に使用される輸液の種類・使用方法・禁忌は習得可能である。脳神経外科のない病院に将来勤務することになる可能性もあり(むしろ多数だと思う)、卒中急性期の対応は全ての医師に必要な研修事項である。
2か月あれば、脳神経外科手術の術前・術後管理の一般的流れを習得すると同時に、各人の興味に応じて、てんかん手術の電気生理学的な理解や下垂体腺腫の内分泌学的理解、頭蓋底腫瘍の存在部位と神経脱落症状の検討等症例に応じた神経学的な理解等を掘り下げることができる。機会があれば、穿頭術程度の手術には積極的に関与する機会を与える。
特に、神経内科・精神神経科・腎臓・内分泌内科等、関連分野の内科選択を考えている先生方には脳神経外科を外科研修に組み込むことを強くお勧めする。
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耳鼻咽喉科・聴覚音声外科

(1)指導可能な研修医数、指導体制
1年目の研修医は上限2名まで受入れ可能である。

指導体制:研修医はチームに配属される。チームは腫瘍3チーム、耳2チームであるが、2年目の研修医や専門研修医もいるため、1年目の研修医は2名以内とする。指導には卒後5〜6年目の特任臨床医または7〜10年目の助教がマンツーマンで付き、その上に上級助教または講師が付くので、一名あたり二名が密着指導に当たる。
(2)経験できる代表的疾患
当科に特徴的な病態・疾患の内、1年目の研修医が1月で診る大まかな経験例数を示す。

【頻度の高い疾患】
(6) リンパ節腫脹 2〜5例/月
(11) めまい 2〜5例/月
(16) 聴覚障害 10例以上/月
(17) 鼻出血 2〜5例/月
(18) 嗄声 2〜5例/月
【耳鼻・咽喉・口腔系疾患】
(1) 中耳炎 2〜10例以上/月
(2) 副鼻腔炎 0〜5例/月
(3) アレルギー性鼻炎 0〜10例以上/月
(4) 扁桃炎 0〜5例/月
(5) 耳鼻科の異物 0〜5例/月
【各コースでの代表例】
腫瘍チーム: 下咽頭腫瘍(2例/月)、耳下腺腫瘍(1〜2例/月)、喉頭腫瘍(1例/月)、上顎腫瘍(1例/月)、甲状腺腫瘍(1例/月)等
耳チーム: 慢性中耳炎(3例/月)、真珠腫(2例/月)、耳硬化症(1例/月)、人工内耳(1例/月)、突発性難聴(2例/月)、重症めまい(1例/月)等
(3)研修スケジュール
[腫瘍チーム] 午前 午後 夕方以降
月曜日 手術、病棟 手術、病棟 手術、病棟
火曜日 抄読会・術前カンファ・回診 外来、病棟 病棟
水曜日 手術、病棟 手術、病棟 病棟
木曜日 手術報告・回診 外来、病棟 医局集談会
金曜日 病棟 病棟 病棟
土曜日 病棟
[耳チーム] 午前 午後 夕方以降
月曜日 手術、病棟 手術、病棟 側頭骨カンファ
火曜日 抄読会・術前カンファ・回診 外来 病棟
水曜日 病棟 病棟 病棟
木曜日 手術報告・回診 外来 医局集談会
金曜日 手術、病棟 手術、病棟 病棟
土曜日 病棟
(4)アピールしたいこと
(1) 受持ち患者の状態のため、泊まり込みになる頻度は腫瘍コースでは月に2〜3日程度、耳コースでは1日以下である。
(2) 気管切開、切開・排膿、皮膚縫合、胃管挿入等を行うことが多く、これらの手技を経験する機会に恵まれる。
(3) 珍しい症例等を担当した場合は積極的に学会発表・論文執筆を指導している。
(4) 側頭骨病理についてのカンファを月曜日夕方に行っている(病理解剖に代えられる)。
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整形外科・脊椎外科

(1)指導可能な研修医数、指導体制
病棟担当指導医が5〜7名の体制をとっており、専門研修医を含め、ほぼマンツーマンの体制で指導している。月間手術数は60例以上あるが、外科系の初期研修としての症例を選別し、かつ実際に治療に「参加」できる機会を確保することを考えると2名が適切であると考える。
(2)経験できる代表的疾患
以下1か月平均、研修医2名の場合の入院受持ち症例

(4) 運動器(筋骨格)系疾患
①骨折:4例
②関節・靱帯の損傷及び障害:4例
③骨粗鬆症:2例
④脊柱障害(腰椎椎間板ヘルニア):4例
(3)研修スケジュール
[週間予定]
診療科としての手術は原則として月・水・金曜日だが、実際には外傷の緊急手術等で平日は毎日手術が行われている。勤務時間は原則として平日8時〜20時、土曜日は8時〜14時で、週の労働時間は計66時間となる。日曜日は原則として休日である。下記のカンファランスは就業時間に含まれている。

月曜日: 病棟カンファランス(夕)3時間
火曜日: クリニカルカンファランス(朝)1時間、教授回診(午前)3時間
病理カンファランス(夕:月1回)3時間
木曜日: リサーチカンファランス(朝)1時間
病棟カンファランス(夕)3時間
土曜日: ファンダメンタルカンファランス(朝)2時間
(4)アピールしたいこと
整形外科・脊椎外科は運動器に関する外傷、疾病を全て扱う診療科である。頭蓋内、胸腔・腹腔内臓器以外の全てを対象としている。厚生労働省の統計でも、腰痛や関節痛等の運動器に関する有症状率は群を抜いており、高齢化に伴ってますますその役割は大きくなると考えられる。プライマリ・ケアの研修として整形外科領域の診断・治療の基本を学ぶことは、他の外科系領域に劣らず重要と考える。
また、外科的治療の多くが内視鏡等の内科的な方法に移行していく中、外傷等の運動器の物理的構造の障害に対する治療法としては、今後も整形外科的な処置に替わるものはないと予想される。
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