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プレス発表

【プレスリリース】 日本人の軽度認知障害からアルツハイマー型認知症への移行に血清カルシウム低値が関連することを同定

  2019年02月25日

東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻の佐藤謙一郎大学院生および岩田淳講師は、軽度認知障害からアルツハイマー型認知症への移行に、血液中のカルシウム値が低いことが関連することを新たに見出しました。本研究は、J-ADNI研究の血液データを中心に詳細な追加解析を、北米ADNI研究のデータと比較しつつ行ったものです。

J-ADNI研究では、ものわすれを主症状とする軽度認知障害の被験者234名の認知機能を最長3年間観察したところ、約半数の被験者が3年のうちにアルツハイマー型認知症へ移行・進行していることが確認されました。このアルツハイマー型認知症への移行に関与する因子をさまざまに検討した結果、観察開始時点での血液中のカルシウム値が正常範囲ながらも低め(血清カルシウム値が補正後9.2 mg/dL未満)であることが関連因子として見出されました。一方で北米ADNI研究データでの解析ではそのような結果は見出されませんでした。

これまでの主に欧米からの研究報告では血液中のカルシウム値と軽度認知障害の進行の関連は不透明でした。本研究は、日本人の包括的な前向き観察データから軽度認知障害と血液中のカルシウム値との関連を示したアジアでは初の報告です。

血清カルシウム低値がアルツハイマー型認知症への移行に関連する理由は現時点では不明ですが、例えば、脳内の神経細胞の活動に影響を与える、またそれに伴い脳内のアミロイドβという物質の蓄積が促進される、などの機序が想定されています。一方でビタミンD欠乏も認知機能悪化に寄与することが知られていますが、J-ADNI研究ではビタミンDは測定されておらず、潜在的なビタミンD欠乏による低カルシウムを反映した結果である可能性もあります。また軽度認知障害に伴う屋外活動量や食生活の変化といった要素による影響の可能性も考えられます。

今後の認知症の観察・介入研究においては、これまで十分には検討されてはこなかった、血清カルシウム値およびビタミンD値、またそれらにかかわる活動量や食生活などの情報も検討していく必要があると言えます。

※詳細は添付ファイルをご覧ください。

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