泌尿器科・男性科
泌尿器科とは副腎、腎臓、尿管、膀胱、尿道、前立腺、陰茎、精巣などの臓器の疾患を診断、治療する科です。
概要
◆ 診療体制
初診患者さんは年間約1,300例です。外来は月曜日から金曜日の午前中に行っています。担当医別または専門別となっています。専門外来としては、セカンドオピニオン外来、腎腫瘍外来、排尿障害、女性泌尿器外来、腎移植外来、結石外来、不妊外来、ED外来(自費)などを行っています。入院件数は年間約1,500件です。 手術件数は年間1,390件(34件)です。主だった手術としては2008年には副腎摘除術12件(7件)、腎摘出術31件(19件)、腎部分切除術15件(8件)、膀胱全摘術15件、前立腺全摘術82件を施行しています。(カッコ内は腹腔鏡手術)
◆ 治療方針
初診患者さんは原則として泌尿器科学会指導医・専門医が診察します。診察後、尿路超音波検査、膀胱内視鏡検査、X線検査、排尿機能検査などを施行し、泌尿器科疾患の診断・治療を致します。入院ベッドは約55床を有し、治療が必要な場合は迅速に対応します。
◆ 得意分野
1. 泌尿器のがん全般、尿路結石、尿路感染症、尿失禁、副腎腫瘍などに対する
専門的な治療を日常的に手がけています。
2. 前立線生検は麻酔をかけて痛みの無い検査を行っています。
3. 腹腔鏡を用いた低侵襲治療に積極的に取り組んでおります。
4. 腎臓内科、血液浄化療法部と協力して腎移植を行っています。
5. 最新の知見と技術に基く最良の医療を提供すべく、日夜努力しています。
【外来担当医の専門分野】
本間之夫教授は前立腺癌、膀胱癌、間質性膀胱炎、過活動膀胱、前立腺肥大症、武内准教授は前立腺疾患、腹腔鏡手術、および、久米准教授は泌尿器癌(特に腎癌)、腎不全、腹腔鏡手術、西松講師は腹腔鏡手術、ED、榎本講師は泌尿器悪性腫瘍全般および腎不全、福原講師は泌尿器癌(特に前立腺癌)です。また、藤村講師は女性泌尿器(尿失禁、骨盤臓脱)です。石川准教授は腎移植、前立腺癌密封小線源です。
◆ その他
1. 患者さんひとりひとりの状態に配慮して泌尿器疾患の治療にあたっています。
2. 他の診療各科との連携体制は万全です。
3. 基礎研究や臨床研究で得られた様々な知見を、いち早く臨床に反映させて
います。
外来医長: 久米准教授
病棟医長: 武内准教授
対象疾患
原発性副甲状腺機能亢進症、副腎腫瘍、腎不全(移植、シャント、CAPD)、腎癌、腎結石、尿管結石、膀胱癌、前立腺癌、前立腺肥大症、尿失禁、間質性膀胱炎、骨盤臓器脱、精巣癌、尿路感染症、尿路性器奇形、ED(勃起障害)、男子不妊症など。
外来担当一覧
主な検査と説明
◆ 外来
【膀胱鏡検査】
血尿の精査や膀胱癌の再発チェックのために行います。男性の場合、尿道からの浸潤麻酔(麻酔薬ゼリー)を行い検査します。当院はオリンパス社製軟性膀胱鏡を数多く有し、低侵襲検査に努めています。原則予約制です。
【尿路超音波検査】
腎臓、膀胱、前立腺疾患のスクリーニングを行っています。原則予約制ですが、随時行っております。
【尿流量測定検査】
トイレ型の器械に向かって排尿し尿の勢いを調べるための検査です。排尿障害のある方に行っております。原則予約制です。
【尿流動態検査】
排尿障害のある方の膀胱機能(排尿する力)を調べる検査です。尿道および直腸内に圧力を測定するカテーテルを挿入し検査します。完全予約制です。
【尿失禁テスト】
尿漏れの程度を客観的に測定する検査です。パッド(オムツ)を当て腹圧をかけてもらい失禁量を測定します。
【経静脈性尿路造影検査】
血管内に造影剤を注入し、レントゲンを撮影する検査です。腎、腎盂、尿管、膀胱の精査に行います。完全予約制です。
【逆行性腎盂造影検査】
経静脈性尿路造影検査にて腎盂、尿管に異常のある方の精密検査のため行います。尿道から内視鏡を挿入し、尿管内に直接カテーテルを挿入します。カテーテルから尿を採取し(細胞検査)、造影剤を注入し腎盂、尿管の病変を評価します。
【逆行性尿道造影検査】
尿道から造影剤を注入し、レントゲンを撮影し、尿道狭窄、前立腺肥大症などの評価に行います。
【尿管ステント留置術】
腎臓、膀胱をバイパスするための細いチューブを挿入します。尿道から内視鏡を挿入し、尿管内にカテーテルを留置します。結石破砕前や、尿管の通過障害のある方に行います。
◆ 入院
【前立腺生検】
PSA高値、直腸診異常のある方に前立腺癌の精査のため行います。入院し麻酔下(半身麻酔、または全身麻酔)にて行うため痛みはありません。
【膀胱生検】
麻酔下(半身麻酔、または全身麻酔)にて膀胱に内視鏡を挿入し、膀胱粘膜を採取し病理学的検査を行います。
先進・特殊医療
◆ 腹腔鏡手術
副腎、腎、尿管に対する良性・悪性疾患や精索静脈瘤に対して内視鏡下に手術を行います。
◆ 密封小線源療法
早期前立腺癌に対して行う放射線療法です。
◆ 高密度焦点式超音波治療(HIFU)
前立腺癌に対して行う高温度療法です。
◆ 腎移植治療
慢性透析患者さんに対して、死体腎ならびに生体腎臓移植を行っています。
◆ 腎尿管結石衝撃波砕石術
衝撃波砕石装置で腎臓結石や尿管結石を破砕します。
◆ 内視鏡下腎尿管結石砕石術
腎盂尿管鏡を用いてHo-YAGレーザーやリソクラストなどの破砕装置を用いて尿路結石を破砕、摘出します。
◆ 膀胱水圧拡張術(先進医療)
間質性膀胱炎に対して膀胱水圧拡張を行います。
◆ 骨盤臓器脱修復術
骨盤臓器脱(膀胱瘤、子宮脱、直腸脱など)に対してメッシュを用いた治療を行います。
診療実績
◆ 現在、診療科で重点的に診療を行っている疾患、治療方法、検査方法
【疾患】
1. 前立腺癌
2. 膀胱癌
3. 腎癌
4. 精巣癌
5. 間質性膀胱炎
6. 過活動膀胱
7. 前立腺肥大症
8. 腎不全外科
9. 尿路結石症
10. 尿失禁、骨盤臓器脱
【治療方法】
1. 前立腺癌に対する治療法:
前立腺全摘術、内分泌療法、放射線治療(小線源治療、外照射)
2. 膀胱癌に対する治療法:
内視鏡的切除、BCG膀注療法、抗癌剤動脈注入・全身投与療法、放射線療法、
根治的膀胱摘除術 、回腸利用自排尿膀胱造設術
3. ホルモン不応性前立腺癌に対するドセタキセル(タキソテール)療法:
各種ホルモン療法および副腎ステロイドに不応になった前立腺癌に対して、
ドセタキセル(タキソテール)を投薬しています。当科では低容量より開始
するため、副作用がほとんど認められず、高齢者や状態のやや悪い方にも投薬
は可能です。もちろん効果を見て副作用に気をつけながら適宜増量いたします。
4. 腎細胞癌、腎盂尿管癌に対する腹腔鏡手術
5. 転移を有する腎細胞癌に対する各種薬物療法:
現在TS-1やインターロイキン2を用いた臨床試験が行われています。
6. 進行性尿路上皮癌に対する化学療法:
MVAC療法、無効例に対してはDIP療法やGC療法が行われています。
7. 精巣癌に対する治療法:
高位精巣摘除術、後腹膜リンパ節郭清術、抗癌剤全身投与療法、放射線療法
8. 間質性膀胱炎に対する膀胱水圧拡張術(先進医療)、膀胱内ヘパリン・リドカイン
注入療法
9. 頻尿、排尿困難、過活動膀胱などの排尿障害に対する各種薬物療法
10. 腹圧性尿失禁に対する各種治療法:
咳、くしゃみ、笑い、階段昇降などお腹に圧力が加わるような動作で尿失禁する
病態です。中高年の女性に多く見られます。失禁のための体操や、各種薬物療法
を行いますが、無効例に対しては手術が行われます。当科ではTOT手術を主に
行っております。 TOT手術は膣前壁に小切開を置き閉鎖孔にテ-プを通し尿道を
「固定」する手術です。
11. 慢性腎不全に対する腹膜透析:
CAPDカテーテル挿入を当院腎臓内科と協力して行っています。当科では全身麻酔
下にカテーテルを挿入いたしますので、苦痛を最小限に抑えることができます。
また全身麻酔をすることにより、通常行われているような「blind」の操作に
よる留置ではなく、直視下に直腸膀胱窩、直腸子宮窩に留置することが可能です
ので、透析液の注入や排液はきわめてスムースであり、患者さんからも高く評価
されております。さらに、カテーテルを腹腔内に固定いたしますのでカテーテル
がはねたり、位置が変わったりする心配はありません。
◆ その他の実績
※ タイトルをクリックするとデータをご覧いただけます。
≫ 診療科で行った主な手術や処置の件数(平成20年)
研修内容
◆ 研修医1年目
・ 採血、点滴ライン確保、CVライン確保などの基本手技。特に泌尿器科では化学療法
が多く行われるが、大半の薬剤がCVラインからの投与を要するため、CVラインの
挿入は頻繁に行われる(各自月2-3回程度の機会が有る)。
・ 手術後の全身管理、化学療法中の全身管理(輸液、電解質、白血球・血小板減少時
の対応など)
・ 尿路感染症の管理、特に重症の腎盂腎炎など
・ 各種レントゲン操作: 逆行性尿道造影、尿管ステント挿入、腎瘻造設など
・ 小~中手術(去勢術、高位除睾術、骨盤リンパ節郭清術、前立腺肥大症の開放手術
など)、内視鏡手術(経尿道的膀胱腫瘍切除術、経尿道的前立腺切除術など)
・ 大手術の第一または第二助手
・ 抄読会(毎週金曜日朝、各自、大体2-3週間ごとに1篇の英文論文を発表する):
泌尿器科の知識を得るばかりでなく、英文に慣れ親しむ非常によいチャンスである。
・ 学会発表: 地方会程度の学会に各自3回程度発表する。
・ 論文: 症例報告を最低1篇は行う。できれば英文で。
◆ 研修医2年目など
・ 患者管理、レントゲン操作、小~中手術、内視鏡手術など一年目の研修内容を更に
充実させる。
・ 大手術は術者を経験する: 腎摘除術、前立腺摘除術、膀胱摘除術など
・ 学会発表は一年目のものに加え、日本泌尿器科学会総会、癌治療学会など大きな
学会で発表を行う。
・ 論文: 臨床研究を行い論文にまとめる。
その他
中途入局も含め、広く医局員を募集しています。詳細は教室HPを参照してください。
≫ 泌尿器科・男性科(東京大学医学部泌尿器科学)ホームページ http://www.h.u-tokyo.ac.jp/urology/
