教授ご挨拶

prof_yamasoba2007年4月1日

東京大学大学院医学系研究科
外科学専攻
感覚・運動機能医学講座 耳鼻咽喉科学分野

教授 山岨達也

 

 

 

 


東京大学耳鼻咽喉科学教室は明治32年(1899年)に開講され、既に100年を越える歴史があります。 平成11年(1999年)に大学院大学となってからは、外科学専攻の耳鼻咽喉科学分野と、 脳神経医学専攻の感覚運動神経科学分野の2つの分野からなっております。スタッフ数は教授1名、准教授2名、講師4名、助教9名、助手2名、 技官1名、医員数名、非常勤講師13名であり、このほか初期・後期研修医がいます。平成19年4月の時点では研修3年目が8名、 2年目が2名、1年目が1名研修しています。また秘書2名、聴力検査技師1名、言語聴覚士3名、研究技術者3名、動物飼育士1名のサポート体制があります。 スペースは医局研究室を合わせると約900m2あり、恐らく、耳鼻咽喉科教室としての規模は我が国では最大であると思われます。 教室員を派遣している関連病院は30以上におよび、7割が東京の基幹病院、他に埼玉、千葉、茨城、福島の基幹病院、 東京・群馬の癌専門病院などがあります。どの病院も2名~数名の診療体制を維持しています。関連病院は地域医療において大きな役割・ 功績を果たしていますが、common diseaseはもちろんさまざまな疾患を経験できるため、教室員も効果的な臨床研修ができています。

私共の教室運営の目標は、優れた臨床の提供、先端的な臨床技術の開発・応用、臨床に反映する基礎研究の発展、指導的人材の育成、 次世代の医療者の教育にあります。東京大学というと研究ばかりしているようなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、 我々の教室は優れた臨床の提供ということに最も力を入れており、本邦で行っている耳鼻咽喉領域の診療技術すべてを高いレベルで行い、 着実で良好な医療を安全に行ことに努力をはらっています。また治療成績の向上や安定につながる新しい技術の開発・応用も行っています (詳細につきましては各診療チームの項で説明しています)。耳鼻咽喉科では耳・鼻・のど・頸部の疾患を扱いますが、 この領域には聴覚、平衡覚、嗅覚、味覚を司る耳、鼻、舌という重要な感覚器が含まれ、さらに食物を摂食、咀嚼、嚥下し、 また発声・構音するという機能を有した口腔・咽頭・喉頭という運動器官が含まれます。また甲状腺や耳下腺、顎下腺(唾液腺)の疾患も扱います。 これらの生活上必要不可欠な感覚器官・運動器官を有する領域が守備範囲であり、単に疾患を診断・治療するのみでなく、 感覚・運動機能の維持または再建も念頭において診療に当たっています。さらに現在の医療では治療困難な疾患に対する治療法の開発も重視し、 臨床応用を目指した基礎研究(translational research)を展開しています。 また幅広い領域を十分カバーできる能力を持つ指導医の養成に多くの時間を費やしています。 我々の日々の努力が日本のみでなく世界の耳鼻咽喉科領域の発展に結びつくと信じ、切磋琢磨しています。

次世代を担う人材の教育も我々の使命であり、医学生の教育はもちろん、専門医も含め教室員の生涯教育を行っています。 教室員の出身校は東京大学出身者が3割、他大学出身者が7割、この10年は男女の比は6:4です。 毎年全国から入局する教室員がそれぞれ異なるバックグラウンドをもちながら当教室で切瑳琢磨し大きく成長しています。 臨床教育にあたっては研修機会が平等になるように配慮し、専門医獲得後は能力や希望に応じた対応をしています。 また各自の専門領域についてより深く臨床・研究を行うべく、research mindを持つように指導しています。 我々の教室では臨床や研究の専門分野の決定は自主性に任せており、強制はありません。また学内のみでなく学外・国外の基礎・ 臨床教室と共同研究をしており、専門家に直接指導の受けられる環境も整っています。初期研修終了時点に限らず、 我々とともに学ぶことを希望する人には中途入局も大いに歓迎いたします。私の好きな言葉に All for one and one for all があります。 これはAlexandre Dumas の三銃士に使われた言葉で、現在はラグビーなどチームスポーツのモットーとして用いられています。 多岐に渡る専門分野を扱う当教室では各自が自らの実力を向上しながら互いに助け合い協力していくことが重要と考えています。