当教室における強皮症診療への取り組み of 東大皮膚科ホームページ

当教室における強皮症診療への取り組み

 当教室では膠原病、特に強皮症の診療に力を入れています。その診療の現在いかにとり組んでいるかを以下にご紹介させて頂きます。

1. 専門外来の開設

 膠原病患者さんのために、火曜日と木曜日の午後に膠原病外来(完全予約制)を設けています。現在は医師4~6人体制で、診察にあたっています。将来的には担当医を増やしたいと考えています。

2. 厚生労働省の強皮症調査研究班の班員としての活動

 佐藤伸一教授は平成14年から厚生労働省の強皮症調査研究班の班員に加わり、強皮症の重症度・治療指針試案 (2004)をまとめるなど、全国的な活動を行い、平成20年度から同研究班の班長を務めております。また、当科膠原病外来主任の浅野善英講師は平成21年から厚生労働省の強皮症調査研究班の班員に加わり、佐藤教授と共に強皮症の診療と基礎研究に従事しております。

3. 一般向け強皮症の本の作成

 知って! シリーズ② 「強皮症」知って!- 皮膚硬化が見られる膠原病の方に - 編集:竹原和彦,佐藤伸一、出版元 芳賀書店
 知って! シリーズ⑪ 「膠原病」「リウマチ」知って!- 正しい理解のための用語解説 - 編集:竹原和彦,佐藤伸一、桑名正隆、出版元 芳賀書店

4. 強皮症オンライン相談

 東京大学皮膚科ホームページ上に、患者相談窓口として強皮症オンライン相談を開設し、全国の強皮症で悩む患者さんの質問にお答えしたり、専門医の紹介を行っています。

5. ホームページ上での疾患情報の公開

 強皮症患者さんのための強皮症情報として、強皮症Q&A、強皮症の診断と検査、強皮症の専門用語の解説、強皮症の病因を公開しました。

6. 強皮症の手指リハビリのビデオ、DVDの貸し出し

 強皮症患者さんにとって、手指の関節が曲がってしまう屈曲拘縮は、生活の質を著しく低下させる合併症です。この屈曲拘縮は適切なリハビリを繰り返すことによって改善することが可能です。そのリハビリのやり方を示したビデオ、DVDを当科膠原病外来通院中の患者さんに無料で貸し出しています。

7. 強皮症研究会議

 平成9年、診療科を問わず広く強皮症研究者が集まり、最新の情報を交換し、また共同研究を行うことによって、強皮症の診断、治療に貢献することを目的として、強皮症研究会議が発足しました。佐藤教授はこの研究会の初代事務局長に就任し、5年間にわたって研究会の運営に当たってきました。現在も幹事として研究会に参加しています。

8. 臨床研究・基礎研究

 強皮症患者さんの診断・治療に役に立つような研究を精力的に行っています。その成果の一部は以下のように報道され注目をあつめています。

・東京新聞, 平成17年4月26日号: p20, 2005
・Chunichi Web Press, 2005年4月26日 科学

『強皮症』 B細胞に着目、新治療法に道
佐藤伸一・長崎大教授が開発

 皮膚や内臓が硬くなる難病「全身性強皮症」の治療法を、佐藤伸一長崎大教授(皮膚病態学)らが新しい視点から開発した。近く臨床試験を始める。
 強皮症はリウマチなどと似た自己免疫疾患の一つ。女性に多い。重症の場合、十年生存率が60%という厳しい病気で、これまで特効薬がなかった。
 佐藤教授は、患者には免疫をつかさどる細胞のうちB細胞に異常があり、B細胞表面のCD19という分子が増えて、その結果、自己を攻撃する物質が作り出されていることを突き止めた。
 CD19に対する抗体はすでに作られている。抗体によって、CD19の働きを抑えると、動物実験では皮膚の硬化が改善された。
 厚生労働省の研究班(代表・竹原和彦金沢大教授)を中心に、臨床試験の準備が進められている。
 やはりB細胞に関連するCD20の抗体は、悪性リンパ腫の薬として使われており、これが強皮症と似た全身性エリテマトーデスに効果があるという研究が出始めている。
 「これまで免疫の制御には、T細胞が重要と思われていたが、B細胞に着目することで、治療への道が開けた。リウマチ性の病気に対する新しいアプローチになるのでは」と佐藤教授は話している。

9. 新しい強皮症の治療の開発

 現在、当科で行っている新規治療法としては「活動性肺線維症に対する、エンドキサン・パルス療法」などがあります。

ご質問、疑問点等ごさいましたら、お気軽にご連絡下さい。

東京大学医学部皮膚科・准教授 浅野善英
Eメール:yasano-tky@umin.ac.jp
電話:03-5800-8661(皮膚科医局直通)